EP3 俺、魔法の薬を作成します。その5
「約三分か、裏口から逃げるのには丁度いいかもな!」
「兄貴! ここはいないと見せかける方が得策っすよ。」
「しかし、約三分というのは、某巨大ヒーローの活動限界時間みたいだ。」
「某巨大ヒーローって、なんだ?」
「ああ、なんでもない。こっちの話だ。とにかく、コイツを飲むんだ、みんな!」
約三分という時間は、某巨大ヒーローの活動限界時間と同じかな?
とはいえ、三分もあれば、アジトの外へ逃げ出す――或いは〝いない〟と思わせることができる筈だ。
「ぐええ、なんて飲みづらい粉薬だ!」
「だけど、この粉薬はスゴいね! 身体が徐々に見えなくなっていくワケだし!」
「よし、なんだかんだと、姿を消すことができたな……わ、なんだ、このプヨプヨしたモノは!?」
「ひゃあ、それは俺の胸だ! ん、その声はキョウか? つーか、いつまで顔を埋めているんだよ……って、おい! お前、その気があるだろう!」
「ちょ、何を言っているんだ! ふ、不可抗力だよ、不可抗力! それに姿が見えないワケだし!」
「ホントかぁ、おい……。」
「シッ……お喋りはそこまでよ!」
「おい、アイツら不法侵入じゃんかよ!」
むう、姿を消したが故に、誰がどこにいるのかわからん状況だ。
んで、どうやら俺はフレイヤの胸に顔を埋めているようだ。
むう、嬉しいような、嬉しくないような微妙な気分だ……。
おっと、そんなことより、アジト内にネメシス騎士団の連中っぽい何者かが入り込んで来たようだ。
不法侵入ってヤツだな……っと、しばらくは口を紡いでおかなくちゃ!
話し声で〝いる〟ことがバレてしまう可能性があるワケだし!
「むう、メチャクチャ臭ぇな、ここ! 流石は廃墟って感じだな!」
「え、臭い? これはブラッディガーベラの香りですよ、メイガースさん。」
「俺が臭ぇって言ったら臭いんだよ!」
「は、はあ……。」
「さて、あのクソ女の命令とはいえ、不法侵入しちまったな、俺達は……。」
「はい、一応、誰か住んでいるっぽいですしねぇ。」
アイツはメイザースとかいう男だったかな?
さっきはチラッとした容姿を見なかったけど、こうして近くでよ~く見ると、筋肉隆々でオマケにハゲ頭のオッサンである。
ん、そんなメイザースと一緒にいるのは、レンズが瓶の底のように分厚い黒縁の眼鏡をかけた軽装鎧を身につけた小柄な若い女だ。
コイツもネメシス騎士団の一員なのかな?
「お、メリッサ。これを見ろ。誰かさっきまでいた形跡があるぜ。」
「そうですね。飲みかけのコーヒーカップが三つ、それに蜂蜜が満たされた硝子の小瓶、パンも置いてありますし……あ、このクッキー美味ぁ~♪」
「おい、勝手に食うんじゃねぇ!」
「まあまあ、そう怒らずに! さてと、メイザースさん。あのふたりは、ここにはいないみたいですし、そろそろ外に出ましょう。〝ここは狼獣人の住処〟だったら大変ですし……。」
ん、狼獣人? メリッサって厚底眼鏡女が口にした狼獣人って、ひょっとして狼男のことか!?




