EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その51
「あ、あっちゃんはダウンしてしまったなぁ……。」
「じゃあ、次は私達が戦う番だガウ!」
アフロディーテはアタランテの猫パンチ……いやいや、獅子パンチを顔面に食らったことでギュルンと白目を剥いて気絶する。
意識は涅槃へと旅立ったヤツだな。
まあ、しばらくは気絶してもらっていた方が無難な気がする。
触れると小規模ながらも爆発する光の羽を左右の翼から発射する技――光爆羽のせいで、アレスとサキがいる周辺は、小さな穴があっちこっちにできてしまっているしねぇ……。
「残りはお前達だけだ!」
「さあ、覚悟するニャン!」
「覚悟しやがれガオ!」
「それはお前達の方だ!」
「な、なんだと!? わあ、なんだ、この人間の女はーっ!」
「にゃは、可愛い子ライオン~☆」
「ライオンも小さいと可愛いですね、キョウ様。」
「よし、邪魔者は捕まえた! これで先に進めるぞ!」
と、アレスとサキに対しても三位一体攻撃を仕掛けようとしたアタランテだったけど、それをなんとかおはぎの山のビスケットの階段を登って来た俺とフィンネア、それにメリッサが阻止するのだった。
「ビスケットの階段だからヤベェって思ったけど、慎重に登ればなんとかなりそうだな。」
「はい、お姉様! それにダイエットしていたおかげでもありますね。」
「うーん、それはともかく、この子ライオンをどうします?」
「紐があるので縛っておきましょう。」
「お、用意周到ですなぁ、ミネルさん。」
「むう、この子ライオンを見ていると、ペットであったセクメトというライオンのことを思い出してしまうのう。」
ミネルとアシュトン、それにピルケも階段をあがってくる。
人間の体重ではヤバいかなぁと思ったおはぎの山の頂上までに続くビスケットの階段だけど、脆くヒビが入りやすいモノは麓にあるモノだけっぽいな。
なんだかんだと、ビスケットの階段は途中から、意外と頑丈なモノになっているようだ。
「さ、頂上を目指そうぜ。」
「その前に、コイツをどうするかですねぇ……。」
「コ、コラ! 私をどうする気だーっ!」
「暴れるな、セクメト。そうだ、わらわのペットにしよう。」
「私はセクメトじゃない、アタランテだー! それにペットってなんだぁ!」
ピルケが不死者になる前にセクメトというライオンを飼っていたようだ。
で、ソイツを思い出してムギューッとアタランテを抱きしめている。
「さて、今いる辺りは、このおかぎの山の中腹っぽいぞ。ご丁寧にも看板が立っているしね。」
むう、けっこう登ったつもりだったけど、未だにおはぎの山の中腹にいるようだ。
「お姉様、気軽に登りましょう~☆」
「そういうワケにもいかないと思う。この先に何もいなきゃ別だが……それに寒くなってきたぞ。オマケに空気が薄くなってきた気がする。」
「え、そうですか?」
「気のせいですよ、キョウ様。」
「む、むう、そうならいいんだが……。」
なんとなくだけど、気温が下がって寒くなってきた気がする。
オマケの空気も薄いような……。
まあ、とにかく、この先はゾンビじゃない俺のような生きている人間にとっては厳しい環境にあるのかもしれないなぁ……。




