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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その45

「あ、イルカがいます!」


「きっと、魔法生物じゃないのか?」


「キルケーってコが騎乗していたお馬さんのような?」


「まあ、そんな感じかな?」


「あ、島が見えます!」


「この緑色の蛸は、俺達をあの島の連れて行き気なのかも……。」


 巨大な緑色の蛸の頭の上は、意外と快適な座り心地だ。


 と、それはともかく、オレンジジュースの湖のど真ん中には、小さな島があるようだ。


 で、そこへ俺達を連れて行こうとしているようだ……一体、何が目的で⁉


「ピキ、ピキ、ピキーッ!」


「お、降りろってか?」


「まあ、島に到着したことだし、降りましょう、お姉様!」


 さて、オレンジジュースの湖のど真ん中にある島に上陸だ。


「あ、浜辺の砂はブラウンシュガーですね。」


「むう、ここは巨大な角砂糖の塊のような島なのかも……。」


「ところで、あの蛸は俺達を〝誰か〟に逢せようとしているんでしょうかねぇ……。」


「まあ、この奥へ行ってみればわかるさ。」


 なんだかんだと、この島はジャングルのように鬱蒼とした場所だ――が、どうせジャングルそのモノがお菓子なんだろうけど。


 まあいいや、島の奥へと進んでみるとするか――。

 

「む、林檎かと思ったら最中か、これは……。」


「お姉様、森の中に入った途端、妙な気配を感じるようになりました。」


「ああ、俺も感じたよ。きっと、近くに何かいるんだろう。」


「きっと、でっかい蜘蛛なんじゃないですかね?」


「ヒッ……蜘蛛は嫌いなんだ。そんな冗談やめてくれよ!」


「冗談じゃないよ、蜘蛛なら、ここに~☆」


「ウ、ウワアアアアアアアッ‼」


 ズギュウウウウウンッ――と、不気味な生き物が、俺達の周囲に密生する鬱蒼としたお菓子の木の一本から舞い降りてくる!


 ううう、俺がこの世で最も生き嫌う生き物である黒々とした巨大な蜘蛛の下半身を持つ魔女だ!


「く、蜘蛛人間っ……蜘蛛女ァァァ~~~!」


「ムフフフ~♪ お姉様ぁ、そんなに激しく抱きつかないでください~☆」


「ヒイイ、俺は蜘蛛がマジでダメなんだよォォォ~~~!」


「お姉様、可愛い~☆ てか、蜘蛛ってゴキや蠅を食べてくれる益虫なんですよ、知ってます?」


「そそそ、そんなのことどうでもいいよ!」


 あうあうあう、俺はとにかく、蜘蛛が大嫌いなんだ!


 ゴキブリや蠅を食べれてくれる益虫だってフィンネアは言うけど……ううう、寒気が走る!


「ひ、酷い! まだ何もしてないのに……。」


「く、蜘蛛女君……何も泣くなんて……お、俺は蜘蛛がとにかく苦手なだけなんだ!」


 蜘蛛女の両目からブワッと大量の涙が……おいおい、俺だって泣きたくなるよ、まったく!



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