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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その44

「甘いモノだらけというのは難儀なものだガウ……モグモグ。」


「あ、マシュマロの木じゃん、モグモグ……」


「お前ら、食べ歩きなんかしてないでスキュラを探せよ!」


 く、ここは食欲がそそられる食の魔界だ!


 俺達が閉じ込められている固有結界は、何もかもが食べ物だ……あ、ある意味、仕方がないよなぁ。


 さて、スキュラは衝撃的な姿だっていうけど、一体、どんな姿なのやら……。


「オレンジ色の湖がありますよ、キョウ様。」


「あ、甘い……ここはオレンジジュースの湖ですね。」


「むう、ここは本当に甘いモ尽くしだなぁ……。」


 オレンジジュースの湖まであるのか、とりあえず、喉の渇きを潤しておくか……。


「しかし、スキュラはどこにいるんでしょうかね?」


「もしかして、このオレンジジュースの湖の中のいたりして……。」


「ありえそうだな。しかし、〝この世界〟では、どんな姿をしているんだろう?」


 スキュラといえば、上半身は人間の女だけど、下半身は奇怪で蛸とか蛇、複数の頭を持った犬だったような気がする。


 まあ、あくまで俺が本来いるべき世界の話ではあるけど、この世界ではどんな姿なのやら……。


「あ、お姉様、何かがオレンジジュースの湖の中から出てきそうです! ほら、ブクブクと泡が激しく水面から――。」


 こ、これは巨大怪獣が現れる兆しってヤツなのでは⁉


 とにかく、俺の目の前にあるオレンジジュースの湖の水面下で、何かが蠢いている!


 その証拠とばかりに、まるで工事現場から響きわたるけたまましい轟音のような音を奏でながら、オレンジジュースの湖の水面が激しく泡立っている!


「え、触手……わ、何か出てきた!」


「お姉様、アレは蛸です! 巨大な緑色の蛸が出てきました!」


「ス、スキュラってモノかもしれませんね、アレは――。」


 み、緑色の蛸⁉


 い、色はともかく、全長二十メートルを超える巨大な蛸はオレンジジュースの湖の中から、雄々しくも不気味な姿を現す。


 コ、コイツが件のスキュラなのか――⁉


「ピ、ピキィーッ!」


「ヒ、ヒイイイッ……わ、巨大なゼリー!」


「巨大な緑色の蛸が、お姉様にゼリーを……ど、毒が入っていたりしませんかね?」


「……というか、コイツを食べろって言っているのかもしれません。」


 巨大な緑色の蛸が不気味な声を張りあげる。


 で、その刹那、ウネウネと蠢く八本の食腕の一本が、オレンジジュースの湖と同じ色の巨大ゼリーが乗った皿をドンッと俺の目の前に……まさか、食べろって言っているのか⁉


「あ、ああ、食べてみるよ……ん、美味い!」


「で、お姉様、大丈夫なんですか、食べても?」


「う、うん、なんともない……コイツはたタダのオレンジゼリーだ。」


 ふ、ふう、毒なんて入ってないな……あ、安心したぁ~~~!


 でも、何故、俺にゼリーを食べさせようとしたんだ、コイツ?


「ピ、ピキキキーッ! ピキュアーッ♪」


「ん、なんか喜んでませんか?」


「あ、ああ、そうみたいだな。」


「ひょっとして私達を試したんじゃ……ん、なんか自分の身体に乗れって言っている感じの仕草を見せていますよ、キョウ様。」


「そ、そうなのか? まあいい、蛸の身体に飛び乗ってみるか――。」


 巨大な緑色の蛸は、俺達を試したのか……⁉


 どこかへ連れて行くために安全かどうか……。


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