EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その40
「名づけてアポロフラッシュ! どうだ、カッコイイだろう?」
「うーん、微妙だ。」
「誰でも思いつきそうな単純なネーミングだガウ!」
「うん、微妙というか在り来たりってヤツかのう?」
「ぐ、ぐぬぬぬ……。」
巨大な半人半獣の怪物スフィンクスをスフィーとクスンという双子の姿に分離させた〝光〟とやらに必殺技のような名前をつけるのはいいけど、なんていうかネーミングそのモノが微妙なんだよなぁ……。
「さ、勝敗はついたことだし、俺達は先へ進むぞ。プロメテウスの草を求めて――。」
ラミアからたくさんのほのかに赤い光を放つ石――オリハルコンの鉱石を得たし、それに手頃の大きさのアダマスの鉱石も、ここで得た。
ミスリルの鉱石もさっき得たことだし、残りはプロメテウスの草だけである――が、オリン山のどこに生えているんだろうねぇ……。
「ん、プロメテウスの草ってモノかは知らないけど、不思議な草花を求めているんでしょう? それについてだけど、なんとなく心当たりがあるわ。」
と、ラミアが言う……心当たりあるだって!?
「多分、ステュクスの滝の周辺に行けば手に入るかもね。あの辺は土壌がキレイだから、そんな場所を好む草花がよく生えている筈よ」
「ステュクスの滝ねぇ、ケモニア大陸内にある名水百選の上位に選ばれるほどの美味しい水だった気がします。」
「へえ、そうなのか! じゃあ、早速、行ってみるか!」
ステュクスの滝かぁ、是非とも行ってみたいもんだ。
そんなステュクスの滝の水は、ケモニア大陸内にある名水百選の上位に選ばれるほどの美味しい水だし、一度は飲んでみたいものだ。
「ああ、そこにスキュラが住んでいたよね?」
「うんうん、そんなワケで面倒な場所だよね、クククク。」
「ス、スキュラ!?」
と、スフィーとクスンがニヤニヤと笑いながら……ふええ、せっかくプロメテウスの草が生えていそうな場所がわかったのに、やっぱり面倒くさい〝何か〟がいるのね……。
「行くなら、ご勝手に……。」
「え、引き止めないの?」
「うん、引き止めない。」
「む、むう……。」
なんだかんだと、スフィーとクスンは俺達に対し、危険だから行くな――とか、引き止めてくれるかと思ったのに……まあ、そうだよなぁ。
「あ、そうだ。キルケーってスキュラより面倒くさい奴が一緒かもね。」
「ふえええ、まだいるのかよ、面倒くさい輩が……。」
「キルケーか、マーテル王国から王宮魔術師だったけど、外道な行いのせいで通報された魔女だった気がする。」
「ソ、ソイツって魔女なワケ? むう……。」
キルケーという魔女が、件のスキュラとかいうモノと一緒にいるようだ。
外道な行いのせいで、マーテル王国から追放されたらしい元王宮魔術師らしいが……ヒッ! 嫌な想像が頭の中をよぎるぜ。
「なあ、どんな輩なんだ?」
「それは行ってのお楽しみだよぉ~! ああ、ステュクスの滝は、あたしらの寝床である〝ここを起点〟に北に数分、進んだら到着できると思うよ。」
「ちなみに、この羅針盤で方角を調べると……うん、北はあっちだね。」
「そ、そうか、サンキュー!」
むう、妙に親切だなぁ、スフィーとクスンの奴……な、何か裏がありそうだ。
俺達を利用し、スキュラとキルケーをステュクスの滝から追い出そうとか考えているんじゃないのか、コイツら……。




