EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その34
スフィンクスといえば、俺が本来いるべき世界では、二通りの解釈がなされている。
怪物と神獣って感じで……と、この世界では怪物として認知されているっとぽいな。
そういえば、旅人に謎々を問いかけ、答えることができなかったモノを食らうって話を聞いたことがあるぞ!
まあ、それはともかく、カサカサ、ジャリジャリ……と、そんな足音のような物音が聞こえてくる。
しかもひとつではない……もうひとつ聞こえてくる! スフィンクスのご登場か!?
「前を見てください、お姉様! こっちに誰かやって来ました!」
「むう、ありゃ、バニーガールじゃないか!」
「え、カジノなんかにいる? わお、本当だ!」
半人半獣の怪物スフィンクスキター!
そう思ったけど、俺達の目の前にやって来たのは、カジノなんかにいるセクシーなバニーガールだ。
しかもふたり……な、何者だ、コイツら!? オマケに髪型こそ違えど、同じ顔をしているので双子に違いない!
「あるぇ~君達ぃ、ここで何をやっているのかな、かな?」
「あ、わかりました! オリハルコンとかアダマスの鉱石を採りに来たんでしょう?」
「む、むう、まあ、そうなるが……って、お前らは何者!」
「ん、あたしら? ああ、私はスフィー。そして、こっちにいるのが妹のクスン。」
「スフィーとクスン……に、人間なのか!? それとも……。」
「お姉、まどろっこしい説明をするより、こう言った方が効果的です! あたしらはふたりそろってスフィンクス! ここら辺一帯を寝床にしている怪物さ!」
「お、お前らがスフィンクス!」
「そうだよ! キヒヒヒ、驚いたぁ?」
「うーん、驚いたっつうか拍子抜けたって感じだな。」
「ですね、お姉様。だってバニーガールだし……。」
「当初の想像と物凄くかけ離れた姿だしな、お前らって……。」
マジで拍子抜けたかも……。
スフィンクスといえば、その姿は頭が人間、胴体がライオンって感じの半人半獣の怪物を想像するところだしなぁ……。
「うううっ……とにかく、あたしらはふたりそろってスフィンクス! 何か文句でもあるワケ!」
「も、文句なんかないって! だから、そんなに怒るなよ!」
「フン、わかればイイのよ。さてと、スフィンクスの楽しい楽しい謎かけの始まりだよぉーっ!」
「うわあ、やっぱりその流れになるのかよ!」
た、楽しい楽しい謎かけだって!?
ふええ、嫌な予感しかしないぞ。
く、メチャクチャな謎かけをしてくるんだろうなぁ、きっと……。
「姐さん、スフィンクスは朝は四本足で歩き、昼間になると二本足で歩き、そして晩になると三本足で歩くようになる動物はな~んだって謎かけをしてくるらしいぜ!」
と、大フレイヤが自慢げに……ん、ギリシャ神話の登場人物のひとりであるオイディプス王の話かな?
むう、あの話を知ってるワケだし、やっぱり大フレイヤは、俺と同じ世界からやって来たモノかもしれないな!
それはともかく、オイディプス王が謎かけに答えられなかった人間を食べてしまうスフィンクスを退治する話を思い出す。
さて、あの話でスフィンクスは、大フレイヤの言う通りの展開――朝は四本、昼間は二本足、そして晩になると三本足で歩く動物は、何か?
と、そんな謎かけをオイディプス王に問いかけるんだったな。
で、答え人間だ。
朝は四本で歩くというのは赤ん坊を意味し、昼間の二本足で歩くとは成人を意味し、そして晩になると三本足で歩く……それは杖をついて歩く年老いた人間を意味しているワケだ。
「は、何を古典的な!」
「馬鹿じゃねぇ~の! ってヤツですよ。今時、そんなわかりやすい謎かけをするワケがありません!」
「え、違うの? む、むう……。」
うーん、スフィンクスはスフィンクスでも、俺が知っているスフィンクスとは、やっぱり別物のようだなぁ……ったく、どんな謎かけをしてくるつもりなんだ、コイツらは――。




