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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その31

 三人一組の魔女ことグライアイには、見たモノの〝根源〟がわかる特異な能力があるようだ。


 例えば、大フレイヤと小フレイヤは血の繋がりがあるとか――。


 俺達の中にグリーネが吸血鬼になるきっかけをつくったランシュロって男の子孫がいるとか――。


「お前達、ランシュロのことを知っているのか!?」


「ああ、奴がお前から逃げる方法を訊きに来たことがあったね。はて、何百年前の話だっけ?」


「む、むう、そういうことだったのか……し、しかし、誰がアイツの子孫なんだ!」


「な、なあ、そんなことより、ついさっき語っただろう? 俺達がここへやって来た理由を――。」


 グライアイは見た目こそ若いが、実際は何百年も生きているトンでない老婆なのかも!?


 いや、でも、人間じゃなくて魔族とかなら何百年も生きていても、ある意味で辻褄が合うかも……と、もう何百年も前の話になる筈なのに、未だにランシュロを憎んでいるっぽいなぁ、グリーネは――。


「いいよ、教えてあげる。だけど、美味いお菓子をたくさん食べさせてくれたらの話だけど――。」


「お菓子くらいつくれるでしょう? お姉さん、クククク……。」


「む、むう……。」


 呆気なくオリハルコンの鉱石がたくさん採掘できる場所をグライアイは教えてくれそうだけど、お菓子をつくれって要求してきたぞ……ぬう、やっぱりそうなるのかよ!?


「まったく、なんなんだ、アイツらは! むう、美味そうな食べ物の匂いが漂っているな……。」


 ここへやって来る前にグライアイ達にフルボッコにされたのかは知らないけど、アルフィスの全身は傷だらけである。


 まあ、それは後回しで――今は何か食べ物をつくらなくちゃな。


「俺だってクッキーくらいはつくれるぞ。小麦粉と牛乳、そしてネクタルシロップを混ぜて……よし、カタチも別段、悪くないな。後は石窯で焼くだけだな。」


「キョウさん、俺も一緒につくるっす!」


「おう、サンキュー!」


 アジトでヤスと一緒に何度かクッキーをつくったことならある。


 まあ、美味いかはどうかわからんけど、とりあえずつくったので石窯で焼いてみるか――。


「うんうん、イイ感じだ!」


「兄貴ィ、見てないで手伝ってくれっす!」


「俺は味見役だ!」


「……もういいっす。さあ、キョウさん、新しいクッキーっす。」


「お、星型か、イイね~。」


 兄貴はいつも俺やヤスに食べ物をつくらせて自分では何もしないんだよなぁ……。


 ま、とにかく、お手製のクッキーが焼けたぞ……お、香ばしい匂いだ!


 でも、美味くできているかどうか――。


「うん、美味い!」


「お、そりゃ良かった!」


「だけど、そこにいる鼬のつくったクッキーの方が美味いな。」


「え、その鼬ってアポロ? わ、お前、人間の姿に変身できるのかよ!」


「まあね。ところで人間の姿に変身した私を見てどう思う?」


「す、凄く可愛いです!」


 むう、グライアイのエニューオーは、俺がつくったクッキーよりも鼬――いや、フェレットのアポロがつくった方のクッキーの方は美味いって言う。


 うーん、そんなフェレットのアポロは人間の姿に変身できるようだ。


 しかもツインテールが十七、八歳くらいの可愛い女のコの姿に――。


「アポロはああ見えても男だから、一応、言っておく。」


「な、なんだってー!」


 と、ディアナがゴニョゴニョと……な、なんだと、見た目は可愛い少女なのに、実は男だって!?


「ちょ、なんで僕を見つめているんだ!」


「あ、ゴメン……ディオニスも女のコに見える場合があるからさぁ。」


「僕を馬鹿にしているだろ! ぐぬぬぬぬ……。」


 そういえば、ディオニスも見様によっては女のコに見えるんだよなぁ。

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