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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その30

「パンくらいならつくれますので、早速、つくって焼いてみました。」


「美味くできているかはわかりませんけどね。」


「わらわもつくってみたぞ!」


 なんだかんだと、俺の使い魔であり、友達である不死者達は料理もこなせるようだ。


 今度、何か料理でも振る舞ってもらおうかなぁ~☆


『パンだ、パンの匂いだ!』


『はうううう、お腹空いたァァァ~~~!』


『ふ、ふたりとも落ち着いて……ジュルリ!』


 それはともかく、洞穴の奥から、そんな大声と足音が聞こえてくる。


 やって来たな、そんな洞穴の主……三人一組の魔女グライアイが!


「は、はうっ!」


「イタタタァ……。」


 ううう、何かが俺に向かってダイヴしてきたぞ!


 ふえええ、ソイツの頭が俺の顎を突きあげる……い、一瞬だけど、意識が遠退いたぞ! なんだ、一体!


「はうう、なんだ、お前は!」


「む、眼帯少女! ひょっとしてグライアイのひとり?」


「その通り! あたしはエニューオー……グライアイのひとりさ! ん、お前はさっきのおぢさんの仲間の料理人かな?」


「仲間っつうか、あの男は勝手について来ただけで……って、あれ、どこ……あ、ああ、石窯のところか!」


 むう、俺に向かってダイヴしてきてモノは、グライアイのひとりで特に短期だというエニューオーって奴のようだ。


 ちなみに、左目に黒い眼帯をした髪の長い十四、五歳の小柄な少女だ。


 むう、名乗ったのも束の間、メリッサやミネルがパンを焼いている石窯のところに移動しているんだが……。


「メ、メロンパンはないのか!」


「ああ、それなら、俺がつくってやるよ。材料ならそろっているしな。」


「ヒャッホー! メロンパンがあれば他はいらん! だが、クロワッサンも捨てがたいなぁ……。」


「それなら私がつくってあげるわ。自慢じゃないけど、お母さんと一緒によくつくっていたしね。」


 大フレイヤがメロンパンを、小フレイヤがクロワッサンをつくると言い出す。


 むう、どっちも美味いパンだ……この世界にも存在していて、俺はとても幸せな気分になったよ!


「メロンパンにクロワッサン……と、それはともかく、そこの巨乳女と貧乳女は姉妹? いや、母親と娘、祖母と孫……血の繋がりを感じるわね。」


「む、なんだ、いきなり!」


「ちょ、どういうこと!」


「そのままさ。アンタ達は血の根源が同じなのよ。あ、私はグライアイのひとりパムブレードー……何故かは私らにもわからないけど、それが〝わかって〟しまうんだ。」


「うんうん、他にも〝あのランシュロ〟の子孫も、この中にいるわね。ああ、私はデイノーよ。」


 右目を眼帯で覆っている少女――グライアイのパムブレードーが、そんなことを言い出す。


 大フレイヤと小フレイヤは容姿が似ているし、血の繋がりがありそうな気がしていたけど、やっぱり、そうなのか!?


 さて、続くかたちで両目を真っ赤なアイマスクで覆う少女――グライアイのデイノーが、俺達の中にランシュロの子孫が混じっていると言う。


「な、なんだと! この中に怨敵……ランシュロの子孫が混じっているだと!」


 ちなみに、パムブレードーとデイノーの外見年齢もエニューオーと同じ、十四、五歳の少女の姿をしている。


 ん、ランシュロといえば、グリーネが吸血鬼になるきっかけをつくった男だっけ……わああ、グリーネの黄金色の髪の毛がボッと一瞬だけど、逆立ったぞ!


 む、むふぅ、怒髪天を衝くってか? 


「ま、まあ、それはともかく、俺達はアンタ達に訊きたいことがあって、ここへやって来たんだ! ミスリルはさっき運良く手に入ったけど、オリハルコンとアダマスの鉱石、それにプロメテウスの草は、この山のどこへ行けば効率良く手に入るのかを訊きたい!」


 ムムムム、話は横道に逸れそうなので、ここへやって来た本来の理由を思い切ってグライアイ達に訊いてみるのだった。

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