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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その28

「石窯に石の料理台……へえ、食材があれば、すぐにでも料理をつくれそうだな。」


「さっきの甘い炭酸水の泉から引いたモノかはわかりませんけど、そこに人工的な泉もありますね。」


「調理道具一式も、そんな人工の泉のところにあるな。」


 グライアイが住む洞穴の側には、そんなすぐにでも料理を始められるモノや給水設備が見受けられる。


「お、小麦粉が入った袋なんかも見受けられるぞ!」


「おお、パンならすぐにでもつくれるな。」


「パンいいですね。菓子パンなら、よくつくりますよ。主にメロンパンをですが――。」


「メロンパンかぁ……イイね!」


 メロンパンは美味い!


 俺もアレは好物だ……おっと、想像したら涎が!


「ん、なんか声が聞こえませんか?」


「あ、ああ、確かに……。」


「物々しい言い争いって感じの声ですね。」


「あああ、また始まりましたか……。」


「え、何が?」


「フフフ、グライアイが何かしらのお菓子を巡ってケンカを始めたんだろう? アイツらはひとつのお菓子を奪い合う意地汚い奴らだって話だしな。」


「は、はい、そうですね。」


「さ、様子を見に行ってみよう。」


「あ、おい、待てよ!」


 俺達と一緒に蜂蜜樹の森の奥にあるグライアイの洞穴へとついて来たノーティルス友愛魔術団のアルフィスは、洞穴の中から聞こえてきた言い争う声が気になったのか、ダッと洞穴の中の駆け込む。


「さ、ちょっと様子を見てくるよ。」


 仕方がないな、俺もついて行ってみるか――。


「けっこう深い洞穴だな。奥が暗くて見えん……ああ、アルフィスの奴、真っ暗な奥まで行っちゃったよ。」


「まったく、困った奴だな。さて、奥から声なら十分すぎるほど響きわたっているぞ。」


「わ、ソロン、お前も来たのかよ!」


「当然だ。お前は宿敵(ライバル)であると同時に、この俺の嫁となる予定の女だ。一緒について来て当然だろう?」


「む、むう、勝手なことを……ま、まあいいや、ここら辺で奥から聞こえる声に耳を澄ませてみよう。」


 アルフィスの奴、松明も持たずにドタバタと真っ暗闇の洞穴の奥へと進んで行く……と、俺とソロンは、グライアイの洞穴の入り口で耳を澄ます。


 なんだかんだと、さっきから奥から物々しい声が聞こえるしね……。


「声は三つ……グライアイは三人一組の魔女と言われているらしいが、どうやら本当のことかもな。」


「あ、ディルム……わかるの?」


「鼠の足音も聞き分ける猫の耳をナメるなよ。」


「そ、そうか……。」


 ん、グラーニアと二足歩行の猫が――ディルムも洞穴の入り口のところへやって来る。


 そういえば、猫の聴力は人間以上に発達している。


 故に、洞穴の奥から聞こえる声が三つ――と、聞き分けることができたんだろうな。


「あ、ホントだ。この先から物々しい声が聞こえる!」


「むう、大フレイヤと使い魔の猫獣人達! お前達にも聞こえるの?」


「それはともかくディルム、奥から聞こえてくる声は、どんな物々しい話を?」


「うむ、『そのマシュマロは私のモノだ!』とか『いいや、私のモノだ!』っ言い争っている。」


「ふ、ふええ、意地汚い食べ物の取り合いって感じの声が交錯しているワケね。」


 グライアイは意地汚い奴らだって話だ。


 もしかして、何かしらのお菓子を三人で奪い合っているのかもしれないな。


 さ、なんだかんだと耳を澄ませてみるか――。

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