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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その22

 錬成すれば超硬質の武器や防具となる一方、呪いを解く、他のモノへと変身する――などなどの効能がある魔法の薬をつくる際の素材としても使われることがある超金属のオリハルコンの鉱石は、ケモニア大陸のど真ん中にある兎天原の南西にある標高四千、五千メートルの高山が連なるガイアーラ山脈を形成する山のひとつであるオリン山でしか採掘できない希少価値の高いモノである。


 で、そんなオリハルコンは燃え盛る炎のように赤く光る金属だと言われているが、その一方で純白に輝く金属とも言われている――ま、見つけてみればわかるか!


 それはともかく、俺達はオリン山大神殿内にあるオリン山へと続く通路を警戒しながら突き進む。


 通路を抜けた場所――オリン山の入り口のところでハルピュイアイとかいう化け物が待ち伏せしているっぽいしね。


「あ、メイヴ! 無事で良かったぁ~!」


「アレスってワンコやフィンソス、フィンクスの姿は、どこにも……。」


「アイツらならハルピュイアイ共にさらわれたよ。」


「えええ、アレス、お兄様、叔父様はさらわれた!?」


「うむ! ちなみに、そんなハルピュイアイの一匹を私が捕まえておいたぞ」


「え、捕まえた!? わ、眼鏡をかけた半人半鳥って感じの生き物がメイヴの足許のいる!」


 得物であるフィンソス、フィンクス、それのアレスを拉致し、アジトへ連れ去ったって感じかな?


 故にハルピュイアイはいないのか……ん、メスライオンの姿に戻ったことで人間の姿の時を超える身体能力を発揮し、ハルピュイアイの一匹を返り討ちにしたようだ。


 とまあ、そんなメイヴの返り討ちに遭ったハルピュイアイと思われるモノが、彼女の鋭い鍵爪に生えた右の前足の下敷き状態になっている。


 うーむ、でも、本当にハルピュイアイって化け物なのかな、コイツ?


 下半身は鳥みたいだけど、上半身は一対の翼が背中に生えた眼鏡をかけた人間って感じだなぁ……。


 皺くちゃの老婆のような頭を持つ鳥の化け物って感じじゃないぞ、コイツ……。


「ねえ、ハルピュイアイにもオスがいるんだぁ!」


「え、どういうこと?」


「ハルピュイアイにはオスが存在しないのよ。」


「なんですとー! じゃあ、コイツは希少なオスの……。」


「あ、あのぉ……私はオスじゃないんですけど! 貧乳だからってオス呼ばわりされるのは、すっげぇムカつくんですけど……。」


 むう、メイヴの大きな右の前足に踏む潰されているハルピュイアイと思われるモノが、そんな不平不満を口にしているんだが……。


「あうう、どうでもいいのですが、そのでっかくて鋭い爪が生えた足を退けてくれませんかねぇ……。」


「ん、命乞いか?」


「違いますよぅ。とにかく、退けてください! 私は無抵抗です……ほら、ほら!」


「むう、両手足と背中の羽をばたつかせているのは、本当に無抵抗の証なのか怪しいんだが……。」


「と、そんなことよりも訊きたい。何故、入山する人間を襲うのかってことを――。」


「そりゃもちろん、復讐っすよ。最近、人間達が山の開拓を始めたじゃないですか? それでウチらの巣をぶっ壊しまくっていて……。」


 メイヴの大きな右の前足に踏み潰されてハルピュイアイ曰く、自分達の巣を山の開拓を名目にぶっ壊した人間達へと復讐とばかりに、入山する人間を襲っていたようだ……ん、じゃあ、さらわれたフィンソスやフィンクス、それにアレスは人質にされたって感じか?


「なあ、お前らがさらった人間ふたりと犬一頭は人質?」


「そうっす!」


「そ、即答かよ! しかし、せっかく入山した途端、面倒くさいことに巻き込まれたなぁ……。」


 ふえええ、トラブルに巻き込まれたって感じだな。


「アンタ達、仮のこの先へ行くなら気をつけるっすよ! 私の仲間がきっと襲いかかってくるっすからね!」


「う、さっきから俺と同じ喋り方をしていないっすか、この鳥人間さん?」


「そ、そんなのどうでもいいだろう! とにかく、忠告サンキュー……んじゃ、先へ進もう! もぎゅあー!」


 むう、〝何か〟が俺の足許にいる兄貴に襲いかかる!


「こ、このっ!」


 あ、兄貴を助けなくちゃ! 俺は咄嗟に足許にある小石を兄貴に襲いかかったモノに対し、投げ放つ……命中!

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