EP3 俺、魔法の薬を作成します。その2
「むう、拳骨を振り下ろすこたぁねえだろ! お前、舎弟だろう?」
「それとこれとは違うっての!」
「う、うん、キョウさんの言う通りっすよ、兄貴……。」
「チッ……悪かったな。」
兄貴の脳天には、プク~と大きなタンコブが――俺の胸を触った罰ってヤツだぜ!
あ、でも、兄貴は反省している様子がないなぁ……。
さてさて。
「さあ、キョウ、それにヤス、お前達も飲んでみるんだ。」
「そうだ、飲むんだ! 俺が飲んだように!」
「むう、わかった。飲むよ……でやぁー!」
「俺も意を決し……でりゃー!」
俺とヤスもインビジブルパウダーを口の中に放り込む。
う、ううう、ブラッディガーベラの匂いと奇妙な味がキツい!
俺は下戸なんでワインはダメだ……み、水で喉の奥で流し込んでしまおう!
俺とヤスは、インビジブルパウダーを作成するのに使うかなぁと思って用意しておいたバケツの中に満たしてある水を同時にがぶ飲みするのだった。
コイツはそうでもしないと耐え難い匂いがあるワケだし……ふ、ふう、飲み込めたぞ。
「お、身体が見えなくなってきたっす!」
「ああ、身体が見えなくなってきた……わお、完全に見えくなったぞ!」
インビジブルパウダーは即効性の魔法薬である。
そんなワケで兄貴の時のように、スゥと俺とヤスの姿があっと言う間に消失する。
「すげぇ、すげぇよ!」
「ハハハ、こりゃ最高っす!」
「でも、約三十秒くらいしか効果が持続しないのが残念だなぁ。」
「そうっすね……ああ、もう元通りっす!」
配合する量が足りなかったのか?
それとも別の理由で――まったく、もう少し長く持続してくれるといいんだがなぁ。
俺は作成したインビジブルパウダーは、やはり約三十秒くらいしか姿を消していられないようだ。
「なあ、ブックス。インビジブルパウダーの作成に必要なブラッデュガーベラのエキス、浮遊樹の根っこ、雷鳴草の花以外にも〝何か〟材料を加えれば、もっと長い時間、姿を消していられる気がするんだけど、どうかな?」
と、俺はそんな気がしたのでブックスに訊いてみるのだった。
「うむ、イイ質問だ! では、31ページ目を見るといい。さらに長時間、姿を消していられる方法が記されている……おっと、誰か来たようだ。」
ふむ、ビンゴだったようだ。
さてと、ブラッデュガーベラのエキス、浮遊樹の根っこ、雷鳴草の花以外に、どんな材料がいれば……ん、アジトに誰かやって来たって!?
「あ、フレイヤだ。あのでかい胸は間違いねぇ!」
兄貴、どこをその判断を――むう、とにかく、エフェポスの村で出逢った歌姫のフレイヤが、ここへやって来たっぽいぞ。




