EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その20
「へえ、ここは博物館としても機能しているんだぁ……。」
「おおお、これはわらわの父上の胸像だぞ! 物好きだなぁ、こんなモノを掘り起こして飾るなんて――。」
「お、これは兎天原の北にかつて存在した黄金文明の黄金像や装飾品じゃないですか!」
「お、二階は図書館みたいですね。」
オリン山大神殿の真ん前にある広場において、マーテル王国からやって来たアイドルグループことゴルゴン三姉妹とやらのコンサートが行われているおかげで警備等が手薄となっている純白城ことオリン山大神殿内へと俺達は移動する。
さて、そんなオリン山大神殿内は博物館、そして図書館としても機能している場所のようだ。
「ここには一日中いれそうだなぁ……。」
「ですね、お姉様。見物できるモノがたくさんありますし!」
ふええ、ここは朝から晩までいれそうな場所だな。
兎天原の南方にあるテュポネス砂漠から、わざわざ持ってきた古代の遺物等の展示数が百を超えるしね。
「さて、オリン山へ続く通路は、あっちみたいね。」
「お、おう、そうだな。」
むう、一日中いても飽きることがないだろうなぁ、ここって感じの博物館でもあるオリン山大神殿内にいるせいか、ついつい忘れてしまうところだったぜ。
俺達はここを経由し、オリン山へと入山し、グラーニアの恋人であるディルムを猫獣人から人間の姿に戻すことができる魔法の薬をつくるための材料を集めるためにやって来たってことを――。
ああ、ついでにアライグマの獣人ウルカヌスに頼まれた依頼も同時に達成だ!
「あ、さっきのアポロって鼬がいるぞ! それにディアナってコも一緒だ。」
「わ、メイヴ、いきなりライオンの姿に戻るなよ!」
「この姿の方は山道を進むのに便利だからな。
メイヴはちんちくりんな女のコの姿から、ドロンと元のメスライオンの姿に戻る。
それはともかく、アポロと名乗る鼬……いやいや、フェレットとディアナという男装女子の姿が見受けられる。
アイツらもここへ来たのか……あ、ああ、そういえば、俺達と同じ目的でオリン山に入山しようとしていたんだったな。
「よし、声をかけてみましょうか、アポロ!」
「ん、あっちゃんもここへ来たのか……と、ちと困ったことが起きてな。オリン山へ続く通路から引き返してきたんだ。」
「困ったこと? 何かしらね?」
「詳しいことは聞いてないけど、ハルピュイアイが入山者を襲っているらしい。」
「ハルピュイアイ? ハーピーとも呼ばれている化け物のこと?」
「まあ、そんな感じかな? でも、何故だろう? アイツらは割と平和主義者な化け物なのに……。」
ハルピュイアイ……老婆のような皺くちゃの人間の頭と鳥の身体を持つハーピーとも呼ばれる怪物の一種だったかな?
へえ、ソイツらが入山者を襲っているねぇ……。
むう、そんな事態から考えて、オリン山で〝何か〟起きているのかもしれないなぁ――。




