EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その18
「さて、私は鼬ではなくフェレットだ。オコジョでもないぞ。」
「フェレットって鼬じゃん……。」
「ところでアンタ達は、ここへ何をしにやって来たワケ?」
「そりゃもちろんオリハルコンの鉱石を買いにやって来たのさ!」
「ハハハ、私と同じ目的のようだな、デコボココンビ! だけど、すでに売れてしまったようだぞ。」
「「な、なんだってー!」」
あのぉ、フェレットも鼬なんですけど……。
ま、まあ、それはともかく、白い鼬……いやいや、フェレットのアポロとディアナことミケの目的も俺達と同じようだ。
「仕方がない。オリン山へ入山するぞ、ディアナ!」
「うん、そうだね。オリン山へ行こう! オリン山大神殿を経由するんだっけ?」
「そうそう、そんなワケで一緒に……ありゃ、行っちゃった!」
「むう、ありゃ、何も考えていなそうだなぁ……。」
目的が同じというワケで一緒にオリン山大神殿へ――と、誘おうとしたアフロディーテだったけど、アポロとディアナは、ブワッと吹き抜けて行く疾風のような勢いで俺達の目の前から立ち去るのだった。
「さあ、俺達もオリン山大神へ行こうか!」
「ああ、そうだな。」
「さて、それじゃ僕が案内しよう。」
なんだかんだと、俺達もオリン山大神殿へ行かなくちゃな。
高い壁の覆われた城下町にいる以上、そんなオリン山大神殿を経由しなくちゃオリン山へと入山できなそうだし――。
と、それからしばらくして――。
「お、人だかりができているぞ!」
「お姉様、小鳥のさえずりのような美しい歌声が聞こえてきせんか?」
「なんだろう、見に行ってみ……ブギャアア!」
「フィンソス、うおあっ!」
俺達は天空で燦々と輝く太陽の光を浴びて神々しく光り輝いて見える白亜の城――オリン山大神殿の側にまでやって来る。
で、そんなオリン山大神殿の前にある広場に人だからができている……むう、フィンソスとフィンクスが、そんな人だからの中に飲み込まれてしまう。
うーん、こりゃ数百人は確実にいるな……しかも人間や獣人に問わず男ばっかり!
ここだけ俺が本来いるべき世界で大人気の某集団女性アイドルのコンサート会場へやって来たかのようだ。
「天空姫ゼウリスが降臨したのかも?」
「違うわ。聞こえてくる歌声は彼女のモノじゃない。」
「え、じゃあ、誰なのさ、ウェスタ?」
「それを私にも……。」
ウェスタは歌姫でもあるオリン山の女神――天空姫ゼウリスの歌声を聞いたことがあるっぽいなぁ。
ひょっとしてすでに降臨済み? でも、ウェスタ曰く、この歌声は彼女のモノじゃないとか……じゃあ、誰なんだろう!?
「おい、野次馬共、広場に誰がいるんだよ!」
「ん、ゴルゴン三姉妹だよ。マーテル王国で大人気の三人組の歌姫さ!」
「え、女性アイドルグループって感じの連中? つーか、ゼウリス親衛隊のような奴らに見つかったらどうするんだよ!」
へえ、ゴルゴン三姉妹という女性アイドルグループが来ているようだ。
巡礼のため? もしくは俺達と同じ目的でやって来たとか?
まあとにかく、人だかりの中心には、そんな三人組のアイドルが……って、不味くね?
オリン山大神殿には巡礼等でやって来る女性達を排斥しようと目論んでいるゼウリス親衛隊のような男達もいることだし……。
「わ、ウワサをしたら影! ゼウリス親衛隊が来やがったぞ!」
確かにやって連中がやって来たかも、野次馬達の声の中に怒鳴り声も混じっているしな。




