EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その11
「ふえー、本来の私の〝大きさ〟と大差ない高い壁に囲まれているんですね、ここは――。」
さて、俺達一行はオリン山大神殿へと到着する。
と、そんなオリン山大神殿だけど、今は二メートルほどに縮小しているけど、本来のエイラの身長と同じ二十メートルはありそうな円状に展開した巨大な壁に覆われた場所のようだ。
「わお、大きな真っ白なお城が見えますよ、お姉様!」
「まさかアレがオリン山大神殿?」
「うん、アレがオリン山大神殿さ。あの白くて美しい姿から別名、純白城と呼ばれているわ。」
「そのまんまの別名だな!」
さてと、円状に展開した巨大な壁にある出入り口を潜ると、そこは蒼穹で燦々と輝く太陽の光を浴びて光り輝いて見えるゴシック調の尖塔が数多く見受けられる神々しい白亜の城――オリン山大神殿を中心とした一種の城下町って感じの市街地である。
「わあ、なんだか男の人ばっかりですね、お姉さま。」
「あの通説のせいだろう? そのせいで女性が足を踏み入れにくい環境が整っちまっているんだよ。」
ふう、どこを見ても男ばっかりだ! しかも武装した連中も多いないか?
なんだかんだと、ウェスタから聞いた通説が原因なんだろうなぁ……。
「貴様、それ以上、言ったら殺すぞ!」
むう、そんな物騒な怒鳴り声が聞こえてくる。
「聞き覚えのある声だわ。」
「ん、あっちゃんの知り合いかな?」
「うん、オルゴニア帝国領内で出逢ったメイヴって友達の声よ。」
あっちゃん? あ、ああ、アフロディーテの愛称ね。
と、それはともかく、アフロディーテは怒鳴り声の主と知り合いっぽいぞ。
メイヴって名前を呼んでいたしね……ん、オルゴニア帝国!?
兎天原を支配しているのはマーテル王国だけど、ひょっとして兎天原とは別の区域にある帝政国家かな?
「なんだかよくわからないけど、怒鳴り声が聞こえた方へ行ってみるわ。」
「あ、待てよ!」
ダッ――と、怒鳴り声が聞こえた方へと駆け出すアフロディーテ。
さ、俺もついて行ってみるか――。
「あ、メスライオンと武装した男達がいる! なあ、どっちがあっちゃんの友達なの?」
「む、アンタまであっちゃんと呼ぶのぉ? まあいいけどさ……ああ、友達はメスライオンの方よ。」
「ふむ、じゃあ、さっきの怒鳴り声はメスライオンの……メイヴって奴のモノかな?」
「ええ、そうなるわね。よし、声をかけてみるわね、メイヴ!」
「つーか、口論をしているし、それを止めるぞ、あっちゃん!」
何故、モメているのかは知らないけど、争いは止めなくちゃな!
俺とアフロディーテは、喋るメスライオンと武装した男達の間に割って入るのだった。




