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EP12 俺 ライバル宣言されて困ります。その10

「ああ、連中はゼウリス親衛隊だったかな?」


「ゼウリスとは、オリン山の天空姫の名前か?」


「わらわもその名を知っているぞ。この時代でも信仰されている女神様のようじゃのう。」


「天空姫の名はゼウリスっていうのか……てか、親衛隊かぁ、まるでアイドルの熱狂的なファンの集まりみたいだな。」


「アイドルってなんです、お姉様?」


「歌って踊れる歌姫のことだガウ!」


「ほう! 俺は歌姫だが踊りは苦手だなぁ……。」


「そのゼウリスって某集団女性アイドルのメンバーみたいな女神様なのかしら?」


「わお、クマちゃん、そういう意味なんだぁ! ん、某集団女性アイドルってなんです、小フレイヤさん?」


「うーん、信仰の対象が複数って感じかしらね?」


「ま、まあ、とにかく、どんな連中なのか想像できたよ……。」


 オリン山大神殿へ巡礼等の理由で訪れた女性を追い出そうとする連中が、どんな奴らなのか、俺にはなんとなくわかったぞ。


 オリン山の天空姫――ゼウリスの熱狂的な信者(ファン)か、こういう連中は危険なんだよぁ……。


 信仰の対象となるモノのためなら、どんなことでもやってしまいそうな危険な思想の持ち主もいそうだしねぇ……。


「ゼウリス親衛隊は男性のみで結成された組織らしいわ。」


「へ、へえ、そうなんだ。でも、何故、女性を追い出そうとするんだよ。」


 なんだかんだと、一番、気になるのが、それなんだよ。


 ゼウリス親衛隊とかいう連中が、何故、オリン山大神殿にやって来る女性を追い出そうとするのかってことが――。


「そりゃ決まっているでしょう? 天空姫ゼウリスが同性を嫌い女人禁制の地に――でも、あくまで通説なのよね。実際は女性が入山しちゃいけない場所じゃないのよ、オリン山はね。」


「ど、どんな通説のせいで女人禁制の地だって思われるようになったんだ、ウェスタ?」


「まあまあ、そう焦らずにキョウさん! 私が知っている話だと、昔、連続してオリン山に足踏み入れた女性の巡礼者が雷に打たれて死んだという悲劇が起きたらしい。とまあ、それが根幹となる原因かは知らないけど、あの山を含むガイアーラ山脈は、麓にあるオリン山大神殿以降の地に女性が足を踏み入れてはいけないという通説が生まれたのよ。」


「むう、じゃあ、ゼウリス親衛隊って連中は、その通説を本気で信じちゃっているのか、それでオリン山大神殿に訪れる女性達を……。」


 いつの時代のことかは知らんけど、たまたま起きた悲劇が原因で女人禁制という通説として広まったワケね。


「やれやれ、アイツは本来は男も女も……。」


「ん?」


「ああ、なんでもないなんでもない。さてと、オリン山大神殿へ行くなら男装した方が無難ね。」


「だろう? ウェスタさんはよくわかっていらっしゃる。」


 むう、ウェスタは何を言おうとしたんだろう?


 まあ、話を聞く限りじゃ確かに男装した方が無難かもな。


 ついでにだけど、ウェスタは顔が広いなぁ、ウルカヌスともなんだかんだと知り合いっぽいしね。


「ああ、そうだ。オリン山へ入山する場合、メルクリウスという人物を尋ねるといい。暇を持て余しているかラ、きっと手伝ってくれるよ。」

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