EP12 俺、ライバル宣言されて困ります。
「わあ、兎や猫の獣人はたくさんいる!」
と、小フレイアがエフェポスの村の中の光景に驚き大声を張りあげる。
そんなエフェポスの村の住人は鼬、狸、狐の獣人もそこそこいるけど、その大半が兎や猫の獣人である。
俺には見慣れた光景だけど、聖地アンザスからやって来た小フレイヤを筆頭とした光桜学園の連中にとっては、なんとも珍妙な光景だったりするワケだ。
「でも、別段、普通の光景だったりするわね。あっちゃん先生を見慣れていれば……。」
あっちゃん先生――光桜学園の保健室にいた喋るアヒルことアフロディーテのことかな?
まあ、そうだろうなぁ、アヒルのアフロディーテと触れ合っていれば、なんだかんだと普通の光景に思えても至極当然かもしれない。
「しかし、奇遇な話っすね。まさかアジトの地下と聖地アンザスにある次元神殿が繋がっていたんなんて――。」
「う、うん、そんなワケだから、いつでも聖地アンザスへ行けるな……少し時間はかかるけど。」
以前、エフェポスの村の村外れにあるディアナスの樹海の入り口にあるアジトには地下室がある――と、言及したことがあった気がする。
と、そんなアジトの地下室と聖地アンザスにある次元神殿という別名で呼ばれることもある光桜学園は、地下迷宮といっても間違いない広大な通路を介し繋がっていたワケだ。
そのおかげで時間は多少かかったけど、俺達はアジトへと一旦、戻り、それからエフェポスの村にある老師ウサエルの家へと移動するのだった。
「え、死霊使いがやって来た!?」
「ええ、アナタ達が聖地アンザスへ出張ってから間もなくだったかしら? ここに自分の宿敵となる死霊使いがいるから探しに来たとか言っていたわね。もしかしてキョウさんのことかしら?」
「私のことかもしれないわね。で、どんな姿をしていたのかしら、フレイさん?」
さてと、俺達と一緒の聖地アンザスへ出張らなかったフレイが、そんな話を――へ、へえ、留守中に俺かフィンネアを探す同じ穴のムジナこと死霊使いがエフェポスの村にやって来ていたとはねぇ。
「ん、喪服みたいな黒い服を着た若い男の人だったわ。ついでに中々カッコイイ人だったわね。」
「ふーん、イケメン君かぁ?」
フレイ曰く、俺、或いはフィンネアを探していたという死霊使いはイケメンな若い男のようだ。
「で、ソイツは今、どこに?」
「さあ、そこまでは私にも――。」
「そっか……しかし、物好きだな! フィンネアはともかく、俺みたいな未熟者の何の用事だ。」
「お姉様、私もまだまだ未熟者ですゥゥゥ~~~!」
動く骸骨ばかりだけど、使い魔が十体以上いるフィンネアはともかく、未熟者の死霊使いである俺に何かしらの用事があって、ここへやって来たのなら物好きの極みだ。




