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EP11 俺、死神と出遭う。その23

「済まない。五百年という長い長い年月が経過する過程で、私の身体から肉という肉が腐れ落ちてしまってね。今じゃ、こんなスカスカの身体になってしまったというワケだ。」


「おお、なんだかんだと、俺と同じではないか!」


 ヴァルムント・ナイアザーって人物は、魔術が乱立していた五百年前、フェポスの村で行われたケモニア大陸各地から集った当時の有力な魔術師や魔女による今後の魔術界の行く末を左右する決め事によって自身の得意とする次元魔術が異端視されたことに憤慨し、自らを不死者化させた存在だって聞く。


「お前、本当に、あのヴァルムント・ナイアザーなのか!? しかし、五百年もこんな場所で何を……あ、私だ。お前の盟友グリーネだ。


「おお、懐かしい! アナタのおかげで次元魔術を完成させられたワケだし、改めて礼を言わせてもらう!」


 そういえば、グリーネはヴァルムントが次元魔術を編み出す際、一役買ったんだったな。


「見つけたわよ、ヴァルムント・ナイアザー! アンタをやっつけて多額の賞金をGETよ……いや、死神の鎌のメンバーとしてアンタを倒す!」


「カロンちゃん、迂闊だよ!」


「そうだ、そうだ、迂闊だよ!」


「むう、天使のような妖精さんが、いつの間にか、俺の左肩に!?」


 天使のような妖精さんことエウノミアーの姿が、いつの間にか、俺の左肩に――。


 と、それはともかく、カロンは赤いフードをかぶった動く骸骨――ヴァルムント・ナイアザーに対し、カロンが先制攻撃を仕掛ける!


「元気なお嬢さんだ。」


「五月蠅い、大人しく捕まれェェェ~~~! 不死者捕獲用の網だぁ! やった捕獲完了!」


「ハハハ、そんなモノでは私の身体に指一本触れられないぞ……よっと!」


「え、霧状のような気薄なモノに変化したの!? くう、抜け目がないわね!」


 バシュッ――と、カロンは着こなす黒いフリルがいっぱいついた白いワンピースのスカートの中に隠し持っていた不死者捕獲用だという網を展開させヴァルムントに投げ放つ――クリーンヒット!


 が、その刹那、不死者捕獲用の網も、バッと自分の身体を分散させる霧状に変化させることができるヴァルムントの前では無用の長物と化してしまう!


 網の隙間から霧状のモノへと自身の身体を変化させたヴェルムントは、スゥと呆気なくすり抜け出してしまったワケだし――。


「フフフ、背後を取ったぞ。」


「むぅ、油断した!」


 霧状のモノへと自身の身体を変化させたヴァルムントは、そんな姿になっても素早さは尋常ではない――まさに神速の勢いで空中を舞う!


 そしてカロンの背後に呆気なく回り込むのだった――むう、赤いフードをかぶった動く骸骨という姿に戻ったぞ!


「背後を取ったということは、生殺与奪の権利を得たというヤツだ。」


「う、ううう……鎌を落としてしまわなければ、こんなことには――ッ!」


「だが、安心したまえ、私はこんな姿になったとはいえ紳士だ。背後から襲いかかるという無粋な真似をする気はない。」


 ヴァルムントは紳士だと言い出す。


 へ、へえ、背後から攻撃を仕掛けるなんて真似はしないのね。


 意外にも潔い輩なのかもしてないな。


「く、このっ!」


「抵抗しない方がいい。生気を吸い取られたくはないだろう?」


「生気を吸い取る!?」


「左様、私の身体は特別製でね。ちょっとでも触れると危険だぞ。生命力吸収(ライフドレイン)が発動し、生気を吸い取ってしまうからね。」


「おお、同じ不死者でも危険度は、この私以上だ。ハハハ、流石はリッチだ。」


 ヴァルムントの身体は危険すぎる!


 そんな危険度は吸血鬼のグリーネ以上じゃないのか!?


 ちょっとでも触れると生命力吸収なんて能力が発動し、生気を吸い取ってしまうようだし――。


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