EP11 俺、死神と出遭う。その20
「ここは地下に埋もれた古代遺跡かもしれません。」
「え、古代遺跡!? あ、ああ、言われてみれば、そんな感じだな。」
「はい、光苔に覆われた石像なんかもありますしね。く~……ここが考古学者である私の好奇心と探究心をくすぐります!」
ま、まさか、あの縮小版ナラカの底が、光る苔が密生する広場になっているとはねぇ……。
オマケに光る苔に覆われた石像も見受けられるので、ここは地殻変動によって地中深くに埋没してしまった古代遺跡って感じだ。
とまあ、こんなモノがあったので考古学者でもあるメリッサは、妙にハイテンションだったりするワケだ。
「うーん、もしかすると、ここはかつて聖地アンザスにあったという……グボベラッ!」
「アタタタァ……って、ここはどこなのよ!」
「あうあう、重いです! グギャッ」
「ふう、一時はどうなるかと思ったけど、無事に着地できたぜ!」
「うううう、この馬鹿! アンタの無駄にでかい胸が、私の顔面を……苦しいッ!」
ここはかつて聖地アンザスにあった――と、メリッサが何かを言おうとした瞬間、小フレイヤが彼女を押し潰すかたちで落下してくる――で、続けざまに大フレイヤがメリッサと小フレイヤの覆いかぶさるように落下してくる。
「おお、大フレイヤ、小フレイヤ! お前も来たのかよ!」
「エヘヘヘ、なんだか面白そうだったからね!」
「どうでもいいけど、大とか小とか、そんな分け方をしないでよね!」
「だって同じ名前だけど、サイズが……。」
「ど、どこのサイズよ!」
「胸だな!」
「う、うん、まあ……。」
「「お、お前らァァァ~~~!」」
「まあまあ、そんなことより、この先に通路がありますよ。」
ふたりのフレイヤの違うは、年齢、そして胸の大きさである。
でも、容姿は似ているんだよなぁ、まるであ姉妹のように――。
さて、ふたりのフレイヤのことはともかく、俺達が今いる足許で蛍火のように煌々と輝いている光る苔が密生している広場には通路が見受けられる。
「グリーネさんとカロンさんは、あの通路の先でしょうかね?」
「ああ、多分そうだ。ご丁寧にも何か落として行ったみたいだしね。」
「ん、黒い棒のようなモノだ……どっちが落としたモノだろう?」
グリーネとカロンのどっちが落としたモノだろう。
光る苔が密生する広場には、大体の長さは二十センチくらいの黒い棒のようなモノが……むう、コイツも微妙に光ってないか!?
「あ、それはカロンちゃんの〝鎌〟だ!」
「ん、お前は悪魔妖精!?」
「ち、違うデュスノミアーよ!」
ん、悪魔のような姿をした妖精――が、いつの間のか俺の頭の上に座っている!
へ、へえ、この黒い棒はカロンの所持品なのね……え、これは〝鎌〟なの!?
でも、刃が見受けられないんだが……。
「鎌……刃がないけど、コイツはどうやって使うのさ?」
「ん、それは秘密だね。」
「ケチッ!」
「私ガ解析シタ結果、何カシラノ液体……恐ラクハ液体金属ガ、ソノ黒イ棒ノ中ニ入ッテイル。デ、ソンナ液体金属ガ今、手ニシテイルモノノ魔力ニ反応シ、刃ヲツクルッテ感ジャナイカナ?」
「そ、そうなのか、ヘイムダル!?」
「し、知らなかった、そんなこと……。」
「むう、秘密って言っていたけど、コイツのメカニズムがわからなかっただけなんじゃねぇの?」
「そ、そんなワケがないでしょう! 馬鹿にしないでよね!」
アハハ、図星を突かれて必死に知ったかぶりを決めているよ、デュスノミアーとかいう妖精さんは!
さて、いつの間にか俺の右肩に座っている小さな人間型の自動人形――ヘイムダルの物体解析機能には驚嘆するよ。
きっと、本来、俺がいるべき世界の未来、或いは化学技術が発展した異世界から聖地アンザスに召喚された最新鋭の自動人形なんだろうなぁ――。




