EP11 俺、死神と出遭う。その19
「まったく水臭ぇな! あたしらの友達だろう?」
「そうよ、そうよ! 生き返ったんなら知らせるのが筋ってモンでしょう、友達なんだし!」
「ム、ムムム……。」
「エリス? お姉様の本当のお名前ですか?」
「エリスといえば、グラーニア様のお亡くなりになられた妹君と同じ名前ですね。」
「まあ、見たい目は十歳ほど違いますが……。」
「た、他人の空似さぁ! ほら、世界にはそっくりな人間が三人はいるって言うだろう?」
俺の場合、魂と肉体は別物である。
しかし、なんという奇遇な話だ!
まさか、あのふたりの妖精さんがエリスの知り合いだったなんて――。
「他人の空似ってこともあるでしょうなぁ……っと、グリーネさん達を追いかけますよ!」
「うむ、わらわ達のあの穴の中へ飛び込むぞ!」
「む、むう、仕方がないなぁ……。」
「ちょ、あたしらを無視すんな!」
さてと、すでに光桜学園の校門の外へと出て、夜魔屍鬼が這い出してきた穴の中に飛び込もうとしているアシュトンとピルケの後を追って、俺とフィンネア、メリッサ、ミネルも光桜学園の校門の外へと移動する。
「皆さん、この光を放つ筒を足許に向けながら飛び降りましょう!」
「とはいえ、心の準備が……。」
広さに関しては、あのナラカには届かぬものの底なし穴であることには変わりはないのが、俺の足許にある穴である。
むう、そんなワケで飛び込むのに勇気がいる……トンでもない勇気がいる!
飢えた獅子がいる檻の中に丸腰で入り込む……いや、それ以上の勇気が――。
「グリーネさんやカロンさんだっけ? あのふたりが飛び込んだことだし、大丈夫ですってば~☆」
「わあ、フィンネア、押すなよ!」
「ウフフ、大丈夫ですって! ゾンビである私がクッションになってお姉様を助けます! ウワアアアアアーッ!」
な、何をするんだァァァ~~~!
ニタニタと笑いながら、ガッと俺に抱きついたフィンネアは、気合の一声を張りあげながら、足許の穴へと飛び込むのだった――む、無論、フィンネアが抱きつく俺は巻き添えを食らう!
「どこまで落下したのかはわからんけど、絶対に死ぬ穴の底に激突して、俺は死ぬ……死ぬ、死ぬ、死ぬゥゥゥ~~~!」
「アハハハ、お姉様も死んでゾンビの仲間入りですね!」
「そ、それは嫌だなぁ……って、冷静に喋っていられるか!」
「あ、でも、なんだかんだと、大丈夫ですよ。ほら、気づきません? 私達は美味い具合に着地できたようです。」
「え、えええーっ!?」
う、美味い具合に着地できた……だと!?
「あ、ああ、本当だ! しかし、妙だなぁ、凄いスピードで落下したと思ったのに……。」
「キョウ様とフィンネアさんも上手く着地できたみたですね。」
「あ、明るい場所ですね、ここは……光苔が密生しているようです。」
変だな? 俺はトンでもないスピードと落下したと思ったんだが……。
うーん、俺の錯覚だったのか?
まあ、それはともかく、俺とフィンネアは蛍火のような淡い光を放つ苔が密生する広場へに着地する。
そんな俺とフィンネアに続くかたちでメリッサとミネル、それにアシュトンとピルケも上手い具合、光る苔が密生する広場へと着地できたようだ。




