EP11 俺、死神と出遭う。その15
「あ、イイことを思いついた!」
「イ、イイこと!? むう、なんとなくわかったぞ。余程のアホじゃない限り、誰でも気づくシンプルな思いつきだろうしな。」
「お、わかった?」
「当然さ。夜魔屍鬼がどんな風にナラカから出現するのかを見に行こうって思いついたんだろう?」
うーん、絶対、誰か言うと思っていたんだ。
なんだかんだと、夜魔屍鬼は謎の存在だ。
タダの動く腐った死体じゃないと思うし……。
裏でヴァルムント・ナイアザーが操っている可能性もありそうだしな!
「ん、そういえば、機械人形達はここへ来ないのか?」
「ああ、アイツらは夜魔屍鬼とは逆で夜になると動けなくなるっぽい。」
「ウム、ホトンドノ仲間ハそーらーえんじんデ動イテイルンダ。ソンナそーらーえんじんハ太陽ガ見エテイナイト動カナインダ。ダカラ空ガ雲ッテイテモ動ケナクナルカラ困ッチャウヨ。アア、ソレニ蓄電式そーらーえんじんヲ搭載シテイルえくす・でうす・まきなハ、コノ私クライナンダ。」
「うわ、足許に自動人形が!? ん、でも、小さな人間……小人型だな。」
「ああ、彼はヘイムダルっていうのよ。で、聖地アンザスを徘徊している自動人形の中じゃ唯一の味方ってところかな?」
むう、自動人形がここにも――。
でも、あのルーを筆頭とした下半身がラジコン戦車のような自動人形達とは違って完全な人間型をしている。
まあ、二十センチほどの大きさの小人型だけどね。
ちなみに、男性的、女性的、どちらとも言い切れない中性的な容姿をしており、オマケに小フレイヤ達と同じ光桜学園の生徒達と同じ制服姿である。
「サテ、ならかノ近クマデナラ私モツイテ行コウ。ナンダカンダト気ナッテイタンダ。あいつラノ出現ノ仕方ガ――。」
「ん、ヘイムダルだっけ? 一緒に来てくれるのか? ワハハ、そりゃありがたい! 私は吸血鬼とはいえ、昼型でなぁ、夜はどうも苦手なんだ!」
吸血鬼って連中は、グリーネのような真祖と、その他は性質そのモノが違うのか!?
――とはいえ、夜が苦手とか、光を忌み嫌う闇の住人である吸血鬼らしからぬことをグリーネは言い出す。
「なあ、当然、一緒に来るよな、キョウ? ああ、拒否権はないぞ!」
「え、一緒に来るかって!? つーか、勝手に決めるなよな! まあ、俺もなんだかんだと気になってはいるけどさ……。」
「じゃあ、行こう! それに奴らの秘密がわかれば、聖地アンザスに住んでいる連中のためにもなると思うしね。」
むう、拒否権がないって、身勝手だな、おいおい……。
だけど、誰かが奴らの――夜魔屍鬼の謎を解かなくちゃいけない気もする。
今日で七日目らしいけど、光桜学園の生徒達+αのためにもなるワケだし――。
「んじゃ、私と一緒に行くメンバーは、キョウと不死者の使い魔達、それにヘイムダルだな。」
「うむ、不死者同士相性がイイかもしれないのう……え、わらわも!?」
「ピルケ、忘れたのか? 俺の使い魔になってことを――。」
ピルケは定期的に大量の水を必要とする古代のミイラだ……って、おい!
友達であると同時に、使い魔になったことを忘れていたのかよ!
「ま、まあいいじゃろう。わらわが愛用する短剣には、〝ああいう連中〟を退ける聖なる力が宿っているしのう。その力を披露するか!」
「お、ミイラちゃんはやる気のようね!」
「ミイラちゃんではない! わらわの名はピルケじゃ!」
「なあ、俺も連れてってくれよ。〝鎮魂歌〟を歌えるぜ。きっと、役に立つはずさ!」
ピルケは黄金の短剣を携帯している。
へえ、夜魔屍鬼のようなモノを退ける聖なる力が宿っているのね。
と、それはともかく、大フレイヤの方が一緒に連れて行ってほしいと言い出す。




