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EP2 俺、歌姫と出逢う。その3

 登場人物紹介


 ・フレイ――歌姫フレイヤの義姉妹。

 エフェポスの村は獣人達の村のようだ。


 猫獣人もけっこう見かけるが、兄貴やヤスのような兎獣人が村人の大半を占めているって感じだな。


 村人を十人集めると、七対三の割合で兎獣人の方が多いしね。


 ああ、忘れていたぜ。


 この村に住んでいる人間は、フレイヤって女の他に、後ふたりいるようだ。


 さて。


「お、知らん顔もいるから名乗っておくぜ。俺はフレイヤ、こう見ても歌姫なんだぜ!」


「へえ、歌姫なんだぁ! ウエディングドレスみたいな衣装はステージ衣装って感じかな?」


 人は見かけの寄らずって感じだねぇ。


 路地裏に寄り合っている不良くん、不良ちゃんもみたいなアウトローな物腰なだけに意外かも!


「しっかし、マーテル王国の連中ったらメチャクチャだぜ! 俺をコソ泥扱いしやがって! こんな俺のどこが怪しいっつうの!」


「うーん、ダチの俺が言うのもなんだが、お前って歌姫と同時にイカサマ師として有名なギャンブラーだしなぁ……。」


「む、俺のどこがイカサマ師なんだよ!」


「え、フレイヤ様はイカサマ師じゃないの?」


「うにゃあ、知らんかったです!」


「お、お前らー!」


 フレイヤは歌姫であると同時にギャンブラーでもあるようだ。


 しかし、イカサマ師としても有名らしい……なるほど、そんな理由から犯人として疑われたのかもしれない。


「まあ、そんなフレイヤおかげで村は潤っていたりするんだけどね。」


「ん、熊にぬいぐるみを抱いた頭に羊のような角が生えた女のコ?」


「ああ、このエフェポスの村の村長のフレイだ。そこにいる胸だけが無駄にでかいガラの悪い歌姫ことフレイヤの義姉妹ってところかな?」


 所謂、有角人という種族だな。


 へえ、獣人以外の種族も兎天原には住んでいるようだ。


 んで、フレイヤの義兄弟だと名乗る熊のぬいぐるみを抱いた羊を連想させる渦巻き状の角が頭の左右に見受けられる金髪碧眼の十四、五歳の少女がやって来る……え、村長!?


「さて、さっきそこにいるクロウサヒコにさっき訊かれてでしょう? マーテル王国の手先かって?」


「だから違うって!」


「ハニエルとヤスは自称、なんでも屋だったよね? そこら辺を考えるとマーテル王国も雇われて、この村の様子を見に来たんじゃ――って、思ったワケ。」


「むう、兄貴ィ。村長のフレイにも疑われているっすよ。」


「…………」


 なんでも屋かぁ、兄貴とヤスはジャンルに問わずなんでもやっちゃうって感じか?


 墓泥棒も、その一環ってところなんだろうなぁ、多分。


「むう、そんなことより、〝嫌な奴ら〟が来たぜ、フレイ。」


「う、うん、この頃、毎日のように来るよね。ネメシス騎士団の連中は――。」


「ネメシス騎士団!?」


「うん、マーテル王国からわざわざ出張って来るんだ。あの暇人共っ……」


 と、舌打ちをするフレイヤが見つめる先には、豪奢な馬具を身につけた白馬に跨る女騎士の姿が見受けられる。


 その後に続くかたちで数人の大男が一種だ。


 女騎士の配下ってところか?


 ふーん、なんだかんだとアイツらが件のネメシス騎士団の面子ってワケね。


 むう、こっちにやって来たぞ!


「ん、見慣れん顔だな。しかし、ここで人間に出逢うのは意外だ。それに以前、どこかで……既視感(デジャヴ)ってヤツかしら?」


 ん、女騎士が話しかけてくる。


 そりゃ、俺の身体はエリス姫だし、知っていても当然だったり……。


「この女……モルガン・ルフィエルじゃないのか!? 人伝に聞いた〝あの魔女〟と容姿がそっくりだしな。」


「な、なんだと!?」


 女騎士の配下のひとりが、ギロリと俺を睨みながら言う――モルガン・ルフィエルって何者なんだよ!

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