EP10 俺、吸血鬼と遭遇する。その14
「キョウ、お前はこれ以上、使い魔を増やすことができないぞ。魔力容量から考えて――。」
「ありゃー、俺は素人魔女だし、これ以上は厳しいかぁ……。」
「お姉様、私も使い魔をこれ以上増やせません。動く骸骨達で精いっぱいです。」
「ほう、そうか? じゃあ、コイツらは私の使い魔にしてみるかな!」
「「「「な、なんだってー!」」」」
俺は素人魔女だ。
そんなワケで魔力貯容量的に、これ以上、使い魔を増やせなかったりするワケだ。
フィンネアも俺と同じっぽいなぁ。
そういえば、動く骸骨――スケルトン一号から何号までいるのかはわからないけど、彼女がストックできる使い魔の数は満杯な様子だ。
さて、意外な人物が四人の吸血鬼ハンターを自分の使い魔にする――と、言い出す。
「グリーネ、本気か!? コイツらはお前を……。」
むう、グリーネだ。
そんなグリーネにとっては四人の吸血鬼ハンターは、自分を滅殺しにやって来た敵のはずなのに……。
「キヒヒヒ……皮肉な話だろう? 宿敵である吸血鬼である私の使い魔になるのだから!」
「だ、誰が使い魔になるなんて認めたんだ!」
「ああそうだ、勝手なことを言うな!」
「だけど、俺達は使い魔にならないと、俺達の身体が腐ってしまうかも……。」
「むうう、こまったなぁ……。」
「クククク、ノーとは言わせないぞ。さて、コイツらと私の身体を繋げるための契約の呪印が必要なんだよな?」
「お、おう、そうなるかな?」
「うむ、じゃあ、早速……うりゃー!」
グリーネは伊達に七百年以上生きちゃいないな。
契約の呪印のことを知っていたし、他の魔術に関しても色々知ってそうだなぁ。
と、そんなグリーネがスッと右手を頭上に掲げると同時に、ズギュウウンッ――と、紫色に輝く光の玉が、頭上に掲げた彼女の右手から飛び出し、宿敵と言ってもいい職業柄に就く四人組こと吸血鬼ハンターの身体の身体を包み込む。
「う、うお、俺の右手の甲に奇妙な紋章のようなモノが!?」
「おい、これは紋章とか、そんなんじゃねぇ!」
「あ、ああ、これは……これ!」
「ね、猫だ! ニコニコ微笑んだ猫の顔だァァァ~~~!」
今にもニャーンと鳴きそうな可愛い猫の顔を模した刺青のようなモノが、四人の吸血鬼ハンターの右手の甲に浮きあがる!
これがグリーネと四人の吸血鬼を繋ぐ契約の呪印なのかも!?
「どうだ、可愛いだろう!」
「「「「ウワアアアアッ!!」」」」
「ハハハハ、その可愛い呪印を刻まれたことが、そんなに嬉しいのか!」
「「「「ちちち、違う!」」」」
うわー、あんな呪印が右手の浮きあがったんじゃ悲鳴をあげたくもなるよなぁ……。
「ううう、フィンクス様、お助けをっ! 私はこんな吸血鬼の使い魔になんかなりたくはありません!」
「え、フィンクスですって!?」
と、四人の吸血鬼ハンターのひとりが、そんな嗚咽を漏らす――ん、フィンネアが〝フィンクス〟という言葉に反応したぞ。




