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もふもふ少女と出会った後に
「おっす」
「おう」
教室に入り伸二といつものやる気の無い挨拶。
「何か今日お前機嫌いいな」
伸二に気づかれた。やる気の無い挨拶にも出ていたのかな。
俺は笑顔で
「朝からかなみさんと会ったんだよ」と言った。
伸二は少し固まって
「……ああ、野代さんね」
と、納得した。
ここで俺は伸二の机の上にあったチラシに気づく
「その紙何?」
「……ん」
伸二が差し出してきたチラシを受け取る。
[花見をするなら桜木公園]
花見? 伸二が?
「……何これ?」
「姉さんに渡された……場所取りのアルバイトだ」
俺は苦笑い。どうも伸二は姉さん、明里さんに頭が上がらないらしい。
伸二にチラシを返す。
……花見、か。
「伸二、お前席取った後はどうするんだ?」
「せっかくだから少し花見て帰る」
「お前は明里さんの花見には参加しないんだな?」
「ああ」
「お前、その日は暇か?」
「……まあ時間はある」
テンションと声のトーンが上がる俺に伸二は怪訝な顔をする。
そんな伸二の肩を掴んで、勢いよく俺は言った。
「頼みがある!」