もふもふ少女は打ち明ける
「えっと……」
かなみさんが俺を見る。いや、話して無いよ。
「伸二、ちょっとタンマな」
戸惑っているかなみさんを廊下に引っ張る
「先輩……」
「喋って無い」
「ですよね、じゃあやっぱり」
俺は頷く
「かなみさんが酔った時にバレてたんだろうな」
「それにしても……」
あんなド直球に、って事だろう。
残念ながら伸二はああいう奴だ
さて……
「どうする? かなみさん」
俺が本気で隠そうとすれば伸二はこれ以上入ってこないだろう。
「……その、伸二さんは信頼出来ますか?」
「口が堅いという面では完全に信頼していい」
口が悪いという面では信頼できない。
かなみさんは少し考えて
「もう、バレてるも同然ですよね」
「だと思うよ、あいつは自分の意見を曲げても捨てないから」
「じゃあ……話します」
かなみさんは俺の服を掴んで
「先輩も、来てください」
かなみさん、上目遣いは破壊力強いから控えめにね。俺の心臓が持たない
教室に戻り伸二の前に行く
周りに他の生徒がいない事を確認して切り出す
「伸二、お前の読みは正解だ……ちょっと来てくれ」
体育館裏。
かなみさんは伸二に狸耳と狸尻尾を見せた。
「こういうこと……です」
「…………」
伸二の鋭い目つきに怯えるかなみさん。伸二は別に睨んでるわけでは無い。
伸二が鋭い目を向ける時は目の前の事を整理している時だ。
他の人から見れば冷静そのものだけど……珍しく動揺してるな。
少しの沈黙。
「……わからないけど分かった」
「えっ?」
「完全には信じられない、でも人に言うような事はしない……すまんな」
そう言って伸二は校門に向かった。クール野郎め
「えっと、先輩?」
「まあ、言った意味そのままだと思うよ」
つまりは保留、と。
「じゃあ私、用事がありますので」
「おお、じゃあまた」
かなみさんと別れて俺は校門に向かう
「……あ」
伸二の野郎、一人で帰りやがった。