もふもふ少女は絡み酒
「先輩、おはようございます」
「……おお、おはよう」
かなみさんの声で気づく。危ない、寝かけていた。
横を見るといつの間にか帰ってきていた伸二……完全に寝てやがる。
かなみさんと話していると伸二の彼女、由美さんがやってきた。
「何寝てるのシンちゃん!」
由美さんの鉄拳で伸二は目を覚ました。因みに由美さんは一つ上で、もうすぐ大学生だ。
さて、とりあえず全員揃ったな
「じゃあ俺買い出し行ってくる、何がいい?」
俺が聞くとかなみさんが
「先輩……私、これ!」
と大きな弁当を取り出した。
「すっごーい、これかなみっちが作ったの?」
最初に声を上げたのは由美さん。因みにかなみさんと由美さんは初対面である。
それにしても手作り弁当……企画して良かった!
少ししてトイレから帰ってくるといつの間にか伸二の姉さん、明里さんのグループが合流していた。
「よー、和樹! 飲んでるかー!」
ああ、明里さん酔ってる。
明里の絡みを苦笑いで受け流しながら座る。
「せんぱい、どうぞー」
かなみさんがコップを渡してくれる
「ありがと、かなみさん」
「それです!」
かなみさんがいきなり大声を出した。……それって何が?
「なんでせんぱいはいつまでも『さん』づけなんですか!」
「いや、別に……」
「べつにじゃないです!」
何? かなみさんどうしたの?
「こう……あだなとかよびすてとかー……むー」
……まさか
俺は渡された飲み物を少し飲む。
うわ、酒だ。
「かなみさん……酔ってる?」
「よってませんよー」
完全に酔ってるよ。かなみさんが自ら飲んだとは思えないし、やはりこれは……
明里さんを見る、俺の視線に気づいた明里さんは俺とかなみさんを交互に見て
「てへぺろ!」
舌を出した。てへぺろじゃねぇよ!
てか伸二も由美さん放ったらかして寝るなよ……うわ、由美さんも酔ってるじゃねぇか。
とりあえずかなみさん、体調は悪くしてないみたいだけど……
「かなみさん大丈夫?」
「だいじょーぶですよー」
そう言ってユラユラと揺れるかなみさん。黒と茶色の髪も左右に揺れて……茶色?
立ち上がってかなみさんの頭を上から見る。
「……やば」
狸耳が出てるよ、かなみさん。
酒の影響からか耳は閉じており、殆ど髪の毛に隠れてまだバレていない。
俺はかなみさんに耳打ちする。
……この場合どっちの耳に? とりあえず人間の耳に耳うちする。
「耳出てるよ」
「そりゃあミミはありますよー」
ダメだ、聞いちゃいねぇ。……仕方ない。
「ちょっとかなみさん」
かなみさんの手を掴んで立ち上がる
「何処行くんだ?」
「ちょっと買い出し」
「ふーん」
伸二疑いの眼差しを受けながら俺はかなみさんを引っ張って行った
……てか伸二の野郎いつの間に起きたんだよ。