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もふもふ少女との約束前に
時は流れて春休み終盤。何故ここまで時間が飛んだのかって?
特に進展が無かったからだ。もう聞くな。
伸二から花見の話を聞いた時、俺は頼んだのだ。
「伸二! 花見をしよう、お前彼女を呼べ!」
「……何でだよ」
その後頼み込んだ末に伸二の協力を得て、かなみさんをどうにか誘い、今に至るわけだ。
とりあえず今は春休み終盤、花見当日。
場所は桜木公園である。
「じゃあ頼むわ」
「……おい」
俺の両手と背中には大量の荷物。
伸二は……手ぶら。
明らかにおかしい!
「伸二も持て!」
「お前が頼んだから花見に来たんだろうが……あいつまで呼んで」
あいつとは伸二の彼女だろう。
「でもこの量は」
明らかに明里さんの荷物も含んでいる……このやろう、だから了承したのか。
軽く睨むと伸二は溜息をついて
「大体お前と野代さんの二人で来ればよかったんじゃないのか?」
「それが出来たら苦労してない」
そりゃあ俺もそれが望ましいさ。
「じゃ、お前そことってろ」
俺達の分のシートをしき終わると伸二は姉さんの分の場所取りに行った。
かなみさんが来るまで後何時間かある……暇だ。