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別れ
12月24日。
クリスマスイブ。
年に一度の、聖なる夜。
町は明るい色とりどりの光と幸せそうなカップルや親子であふれかえっている。
あたしはそんな日に、5年間付き合っていた彼氏に振られた。
左手の薬指に視線を移す。30分くらい前まで、安物でも、大切な宝物が、あった。
中3のクリスマス、照れと寒さに顔を真っ赤にした将に、右手にはめてもらったペアリング。
「進学が別でも、お前のこと好きなのは変わらないから。ずっと、大切にする」
なんて、夢みたいな、よく聞くような台詞で。
私は専門学校。
将は一流大学。
志望校が別々になって、実際にそれぞれ別の道を進んだ私達の仲をつなぐように、ペアリングと将の言葉は2人の間に存在し、つないでた。
お互い別の進路だと、やっぱり合う時間が減っていって、月1回から3回、デートできればいいほうだった。合えない時間が、2人の間に溝ををつくった。