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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
離別編。情けも憎悪も顧みぬ未来(みき)

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澪ぉぉっ?! 順子たんのGカップを楽しんでいる場合かぁあああああっ?!

「久しぶりだな息子よ」

ともすれば女性に勘違いされるほどすらりとした体つき。

切れ長の瞳に端正な顔立ちの青年。

いや。訂正する。

実際はこの男、『水鏡零みかがみれい』は立派な中年男性である。

自称海上自衛隊所属の潜水艦乗りだが海上自衛隊に彼の籍は無い。

素性、軍服なしでは女性にしか見えない見た目、人間離れした戦闘能力、飄々として掴みどころのないジョークのセンス。

ありとあらゆる意味でワケのわからない男で、澪が最も苦手とする同性だ。

要するに彼、零は澪の親父である。

兄貴や親戚ではなく実の親父である。

「お帰り。父さん」「さぁ。思いっきり再会のキスをしていいのだぞ息子よ」

そういって鼻先を近づける零。

ちょっと頬が赤いのがどうかと思う。

流石に一八歳の息子にする仕草ではない。

「親父。俺。もう一八なんだが」「ほう。もう一八かぁ。受験は大丈夫か」



大丈夫なワケがない。


 最近彼女が出来た澪。

澪を狙う女子は意外と多かった。

表面化してなかっただけだ。


 なんせ普段幼馴染の霧島といつもいる。

深夜まで一緒にいる。仲を疑われるほど一緒にいる。

そ り ゃ 彼 女 が 出 来 る わ け が な い 。


 霧島は痘痕面の不細工だが体型だけははすらりとしていて程よく筋肉質だ。

スポーツ万能で性格は気さくで学業は常に『満点』というチートな男である。

そして澪は成績は悪いが性格と運動は良い。

体格で劣るのでどうしても最上位にはなれないがそれでも運動関係の催しでは常に大活躍しているし、空手部主将としての人望も高い。

霧島と澪に危ないところを助けてもらったという男女は少なからずいる。

そして皆この二人の仲の良さを熟知している。

そりゃ彼女が二人に出来るわけがない。


 澪はどうも霧島に無防備な仕草を見せる。

いや、澪からすれば同性である幼馴染へは当然の行動なのだろうが、澪の見た目は美少女そのものである。

妄想激しいこの年頃の女子たちに誤解するなというほうが無理だ。


 そんな澪に遂に彼女が出来た。

学校の憧れの的、高峰姉妹の妹。順子である。

姉妹セットで好かれてしまうところが澪の極端な所だ。一人で充分である。

『あいつ結構デカいよ』『へえ』

某所ではその彼女と幼馴染の間で彼のトップシークレットの一つが語られていたりする。

『あと、やっぱりへたくそ。おっぱい痛い』『だろうなぁ』それは若さゆえの暴走と思ってほしい。

『しつこい。すぐ復活して何度でもする』『それは勘弁してやれよ』若いからなぁ。



 霧島青年が腐心する親友である澪への学業上昇の努力の多くは澪の彼女、順子の胸に詰まってしまったのではないだろうか。

事実、霧島青年、新堀、高峰姉妹は『満点』連発である。

「授業内容を録音録画自由。テストの問題は授業から確実に出る。あれで満点取れなかったらおかしい」と霧島青年はつぶやくが普通ではない。

「また和人君とプロレスかあああああああああっ?! 順子たんのGカップとのプロレスだけにせんかああああああああああああぁぁっ?!」

秘密にしているつもりの事をあっさり親父に露見され、おまけに豪快なジャーマンスープレックスを投げっぱなしで喰らう澪。

「ああ。孫が待ち遠しいわ」キラキラした瞳で告げるのは澪の母。美緒。

「順子ちゃんも和代ちゃんも良い子だし、私どっちでもいいわよ」「姉妹丼でもOKだ」「じゃかましいわっ!?」

水鏡家では父が帰宅するといつもこのように騒がしい。

たまに非番と称してフラリと帰ってきてはこうやって息子の成長を見て帰っていく零の仕事内容は『誰も知らない』。


 母。美緒に一度父の職業を聞いてみた澪。

「うーん? 異世界でチーハーする真君の手伝いしたり、魔王を刀で両断したり、機械魔法科学の発達した世界で軍人したり」「母さん。適当なこと言わないで」

こんな感じなので澪も父の仕事を知らない。

未来言うところの『新堀のおじさん』の本名は真である。

未来から見ても規格外の真だが、流石にそんな安物のWeb小説な設定は如何なモノか元腐女子ぼーいずらぶさっか


 潜水艦乗りというのは概して『秘密』が多い仕事らしい。

息子の突き合っている。もとい付き合っている娘の情報を知っているのは母の入れ知恵として、何故息子の授業態度まで把握しているのか?

 結論で言えば彼等の全ての授業内容はインターネットで公開されている。

生徒一人一人の授業態度もガッチリ映っているので少なからずのクレームがある。

また、一部の教員。浅生などから『生徒の自主性は匿名性にもよって守られるのではないか』という指摘もあって問題が多いのだが現状は維持されている。

当然、澪が霧島と授業中に繰り広げるプロレスのパフォーマンスまで零はチェックしている。

生徒たちは各教師の授業内容を常に再生できるが、当然それは『息子(娘)はちゃんと勉強しているのか』を子供や教師に聞くだけだった保護者達も対象になっている。


 授業妨害をすれば即バレる。

また。ニコニコ動画のようにリアルタイムでコメントを入れる事が出来る。

お蔭でクレームを入れる親も速攻このコメントによってさらされる。

「○○の親、自分の子供が授業妨害したのを逆ギレして駆け込んできたって」「だっさwww」とか書きこまれてしまう。

親も子供も授業中、また授業の内容にうかつなことは出来ないのだ。


 澪のクラスの授業は「wktk」「今日は澪タンのプロレスないお;;」などが書き込まれている。

基本としてコメントはよほどひどいものでない限り消されない。

一応、ネット関係に詳しい斎藤養護教諭が管理しているが彼の管理は苛めなどの発展しない案件なら実にいい加減だ。

そもそも苛めなどが起きたら斎藤を敵に回す。

美女の見た目の斎藤だが生徒から『鬼』のあだ名をもらっている。誰も敵に回さない。

そんな斎藤は美少年と長身の男前が唐突にプロレスを始める授業を喜んで動画にして閲覧数を跳ねあげた。


 このネット。閲覧にお金はいらない。

しかし、利用者のパソコンの余剰の計算力を一部提供して貰うことで利益還元している。

澪と霧島のパフォーマンス、戦闘の華やかさ。

教室で行われる非日常の戦い。

小柄な美少年の奮闘はそりゃそりゃもう閲覧数を爆上げし、

財政難を救う起爆剤の一つとなった。


 息子が授業放棄して親友とプロレス。夏休みは彼女とベッドでプロレス。

そ り ゃ 零 も キ レ る 。

「プライバシーの侵害だ!」「お前にプライバシーは無い!」軍人の零にとって他人のプライバシーなど暴くモノなのだろう。

「息子の人格に対する攻撃とみなす!」「ふはははっ?! 笑止! 乳を揉めば女は気持ちよいと思っているひよっこがッ?!」「ばぶっ?!」

澪の動揺をついて小足払い。足を掬われて宙に舞う澪の身体が綺麗に反転。そのまま鋭い膝と脛が刀のように父の首筋を薙ごうとするがこれは父の掌底によって軌道を軽く逸らされる。父の拳が澪の股間を容赦なく軽く叩こうとするが。

『こん』

「む。カップを入れていたか」「前の手は喰わん!」

澪の体格の割には長い脚が綺麗に零の首に絡みつき、

澪の細く繊細な指が花嫁に指輪を捧げるように零の手に絡みついて。

「首絞め腕ひしぎッ」「残念だな。それは俺のお稲荷さんだ」

澪は気が付いたら稲荷ずしを握り締めた状態で、『ばか』と喋る巨乳美少女の抱き枕を両脚でホールドしていた。

「これが空蝉の術だ」「うそつけ」そのまま零の肘鉄が澪の鳩尾に。

零の買ってきた秋葉原お土産は開けるべき穴を開けずして大穴があいてしまった。


「お茶ですよ~♪」


 品の良い有線放送が流れ、ふわふわと湯気を立てる紅茶をいつの間にか入れていた美緒に群がるのはいつの間にかいた高校生たち。

 順子と和代。澪をいまだ狙う水野。

彼女らに睨みを効かせる霧島。未来たち。

「あれ? おばさん澪っちなにしているの?」「さぁ? ちょっと変なもの食べたみたい。澪ちゃんってホントうかつな子ねぇ」「あはは」

美緒はお菓子を作るのが上手い。程よく生姜の効いたクッキーを美味しそうにつまむ高校生たち。

「お姉さん。このお菓子美味しい」「うーん! 水野ちゃん! お姉さんなんて呼んでくれておばさん嬉しいわぁ。もっと来ていいわよ~!」「わーい!」


 水鏡家の一日は。

今日も平和である。

どーしてこうなった。

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