表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
夢想編。未来の果てにも今の未来(みき)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

53/78

扉を開けたら血達磨がいた

「ただいま」


 扉を開けたら。血達磨がいた。

未来の顔が蒼くなった。部屋の奥に逃げ込んだ。

向う側の扉から血達磨が近寄ってきて、未来の前のガラス戸を開けた。

未来はベランダ一杯に飛び出して、遠くに呼ぶように「アサ義兄にぃ! あさにぃ!? 」

手鞄を下げてゆっくり血を踏んできたソレは包帯で鼻の上までつつみ、耳に血の付いた髪をへばりつけていた。

もうだめだと未来は外をながめると、都会の家々はばらばらと広がっているだけで、未来が飛び出す前に闇に墜ちた。

「未来。俺だ。ご機嫌宜しゅうございます」

「ああ。あさにいかい。お帰りかい。また寒くなって」

義兄が勤めさせてもらっている有里事務所では、兄は積極的に美里の身を庇っては死にかけていた。

今日も電車に轢かれたそのあとトラックに吹っ飛ばされたそうだ。

あと二、三発銃弾を頭に受けて大騒ぎになったと笑いながらつぶやく朝日。何故死なない。

「まぁ明後日にはだいたい動けるようになってるさ」「兄貴。別の意味で見てもらったほうがいいよ……」


「美里さんってそんなに身を庇いたいほど美人なのか」「?? 良くわからんが色々良くしてくれるぞ」

ぶう。確かに歳は同い年くらいだし、仲良くなるのも早そうだ。

「お父さんを不慮の事故で失ってふさぎ込んでいたらしいけど結構明るくて優しくていい子だぞ」ふぅん。朝日が血を拭いながら機嫌よく話すのが未来には気にくわないが。


「兄貴。そのうち死ぬぞ」「お前がいるから死なない」

じゃ、俺がいなければ兄貴は何時でも死ねるのか。未来はそう言いかけたが黙った。

自分も同じことを考えているからだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ