表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
夢想編。未来の果てにも今の未来(みき)

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

52/78

必要(だいじ)なひと

「あにき~ 」「なんだ? 」


 朝日は機嫌よさそうに食事の準備をしている。

当面の生活費が出た事が大きい。高校無償化の影響は私立である神楽坂には無いが。

「新堀のおじさんに払ってもらっている学費を返せる」「要らないって言われて終わり」

沙玖夜さんの口利きもあるし、その分もと言う朝日だが義理堅すぎる。


「もっと私腹を肥やして良いんじゃよ? 風〇に行くとか」「しばくぞ」

「わたしで発散しないの? 私は何時でもOKだぜ」「死ね」

朝日は揺れる未来の瞳を見て『妹』の真意が別の方向にあることを知っている。

それは朝日として、兄として許せるものではない。

傷ついたものが余計自らを傷つけて傷の痛みを誤魔化そうとしているような本末転倒な試み。



 未来は想う。

『実際、命の危険があったのだからもっと自分を大事にしてほしいところだ』と。

それは朝日も同じことを思っているのだがこの兄妹、肝心なところで伝わっていない節がある。

朝日が振るフライパンからはじゅうじゅうと香ばしい匂いが漏れる。

「よっと」彼は軽く手首を振って見事なオムレツを作り出す。

しゅ。彼は後ろを振り返ることなく、未来の座席にあるバターライスにそのオムレツを命中させた。


 じゅわっとした黄身が広がって程よく出汁の効いた卵とライスが絡む絶妙の香りに未来は喉を鳴らす。

「朝ニイ。いい嫁になるぜ」「ばか」照れる朝日。未来と違って何かと器用だ。

「あれか。有里の姉ちゃんの事務所にまたいくの? 」「ああ。仕事あるみたいだし」

「あれだね。惚れたね」「バカ言え」呆れる朝日につぶやく未来。

「いいんじゃよ。若い二人がどんな暴走や過ちを犯しても私は別に」「ふざけるな。俺は……」


 未来は想う。

義兄は無辜の少女を跳ねてから自分が幸せになるのを拒否している節があると。

「俺、俺で生きるよ。社長だぜ? 社長」「……そっか」

「あと! 絶対! 絶対! アニキは必要! どっかいくなよ! 約束だからなっ?! 」「……そうかな」


 数年後、朝日は未来の元から姿を頻繁に消すようになるが。

未来はいつか兄が帰ってくる日を信じて彼の部屋は開けつづけていた。

まぁその真相を十年経ってから聞かされたときは流石にキレたが。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ