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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
青春編。世界の危機(きき)より天文部の未来(みき)
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そうだ。文化祭でアピールだ「離せっ? 遥(ハルカナル)っ?! 」

「あいてて」


 知らないうちに新堀と激しく頭を打ち合わせていた未来。

夏休みの教室には彼女たち四人しかいない。


 和代と潤子は涼を求めて。

新堀は文芸部の部長として。

未来は新堀や和代や潤子に絡むために。


 昨今の文芸部はインターネット回線を利用した投稿を使えば部員と顔をあわせずとも事足りる。

素人作家同士の交流も年齢、性別問わず盛んだ。昔のように文化祭用の同人誌を作るにしても各自の家のPCで作れる。

しかし、新堀は部員同士の生身の交流を重視している。だからここにいるのだが。


「皆さん、欠席なんて」ため息をつく新堀。

「今、外37度だよ~」潤子はうっとうしそうにつぶやく。それでも長袖。それが潤子。

「潤子さん。さぼってはいけません」和代は澄ました顔を崩さず、文芸部の同人誌を綴じる。


 いつも体育活動では暑い中もジャージを着て見学の潤子に反し、スポーツ万能の和代。

彼女は病気をしたとのことで今年19歳らしい。よって運動部に所属できない。

引く手あまたの和代だが、とりあえず潤子の手伝いに落ち着いている。


「なんで私まで手伝わねばならぬのだ」「いいじゃん。暇でしょ? 」

文句を言う未来にツッこみをいれる潤子。育ちが知れるというものだ。

潤子はこの4人だけのときはあまりお嬢様言葉を使わない。

不満をたらしながら同人誌の袋とじ作業に追われる未来。

「あ。この間の七夕特集。潤子さんのおかげで大反響」「それはよかったですね」


「織姫と彦星の星の名前を挙げよ」澄ました顔で嫌味を言う和代に膨れる未来。


「こんなのが、伝統あるわが校の天文部部長なんて」

嘆かわしいですわね。そう告げる新堀に地団駄を踏む未来。

「文化祭でっ! 絶対っ! 見返してやるっ?! 」


「一人で何をする気? 」「また手伝えとかいうんじゃないだろうな? 」

新堀と和代があきれる中、お人よしの潤子だけ「あたしはいいけど? 」と答える。


 潤子は、こう見えても電子書籍の話が出ているほどの書き手だ。

余計なものばかり書いていては本人がよくても電子書籍の出版社の担当の人が許さない。


「で。何をなさるおつもりで? 」もう潤子に原稿を書けとかいわないでくださいね? 和代は未来をにらむ。


「和代様にしかできないことですが」いやな予感。和代はパタンと詩集を綴じた。

「あら。もうこんな時間」そそくさと席を立とうとするが。


「宇宙旅行をしたら、部員が集まるかとっ?! 」


 そういって未来は恐ろしい勢いで和代にタックルをかました。

和代はバックヒールキックを情け容赦なく未来に決めたが、ガッツのある未来はソレに耐えて。


「宇宙を一緒に目指しましょうっ! 」と叫んだ。

「お前の提案はっ?! 嫌だぁああああああああああああああああっ??! 」

地が出た和代は必死で逃亡を図ったが、興味津々の新堀と潤子が加勢し、和代は捕縛されてしまった。

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