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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
夢想編。未来の果てにも今の未来(みき)

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こすもすねっと

 黒い黒い海の中、青く青く光る星。地球。

「おげんきですか。私はここにいます」

最近株を伸ばしつつあるジュニアアイドルの舌足らずな声が響く。


 彼女の滑舌が急に滑らかになり、視聴者に告げる。

「瞳輝く成層圏の彼方からあなたの言葉を彼に届けます」

月額基本無料。ビットコインシステム導入。

世界最速最高範囲の高速ネット通信。


 大きな銀の飛行船が通り過ぎていく。

「『こすもすねっと』現在加入者募集」



 ばたばたと教室に向けてけたたましい足音。

早くも半年ちかく経つが、やっぱり男には本質には慣れない未来。

それは他のお嬢様方も同じなようで、眉をひそめるクラスメイトの少女と目が合い、思わずお互い苦笑い。

「雷鳴館の下品な連中には相変わらず嫌な思いをさせられますが、あと半年と思えば嬉しいような寂しいような」少女がそうつぶやくと未来は「下品かどうかは知らんが、面白い奴らだよな。水野とかいい奴ジャン。澪タンも」

少女はそれを聞いて「そうですね」とだけ返し、自分の勉学に戻る。


「未来ッ 未来ッ 」「なんだよ。うっせーな」


 呆れる未来に澪がくってかかる。

「おまえっ なんか新しい事業やってるんだって?! すげえ話題になってるぞ」「今更かよッ?! 」

「このこすもすねっとってナニ?! なんか『こすもす』の子機で行う高速通信システムだって」「ああ。支援機飛ばしていたら新堀が『使える』って言うから出資してもらった」

前は気象庁やJAXAにデータを売る程度だったのだが。


「俺も適当に『こんなんあったらいいなぁ』って言ったら新堀とか、にちゃんねるやTwitterの連中やGoogle+の奴らやらがあーだこーだ言って、気が付いたら某社と喧嘩する羽目になってえらいことになった」


 航空機より遥かに高高度を飛ぶ気球、『こすもす』の子機を相互通信させ、航行の安全を図っていたシステムだが、食料支援より先に携帯電話が普及する発展途上国へのインターネット接続サービスとして使えないかと言う案がまとまった形になる。

「理論上は世界中に『こすもす』子機を飛ばして普通はインターネット出来ない地区でも余裕で通信可能になる」それが出来ないと遭難したとき大変だから観測用子機を利用した安全管理システムを開発したんだがと未来。

「お前、勉強出来ないじゃないか」「勉強と思い付きは違う」

社長のどうしようもない企画とも言えない思い付きをを形にするのは何時もかわいそうな下っ端である。赤松や清水や森田たちの心労は計り知れない。


「この基本料金無料ってのが引っかかるんだが」「ああ。それはビットコインといってシステムに貢献した具合で決まるんだ。優秀なプログラマーを雇う手間も省いた。俺もイマイチ解らんけど、『こすもすねっと』を進化させればさせるほどトクだってさ」

社長の癖に説明できんのかっ?!

「ビットコインって」「ググれ」酷い。


 気球を用いた相互通信。

現実世界でもGoogleがニュージーランドで実験を開始している。

気流によって気球が動きまくる問題も上昇と下降しか出来ない気球を用い、

高さによって動きの違う成層圏の気流をうまく使ってカバーし合うようになっている。

実現すれば世界は変わる。現在、インターネットは世界的に普及しているがそれでも全人類の1/3ほどしか満足な環境は得る事が出来ない。そのインターネット総人口は2011年にて22億7000万人(総務省調べ)。

次世代のIT大国として見られるインドは2011年時点で全人口の10%しかインターネットが普及していない。日本は78%で最も多いのは北国ノルウェーの93.4%である。


「つまり、『こすもすねっと』の今後次第で今までのプロバイダが潰れるって事? 」「潰れねーよ。むしろ私が暗殺されるじゃないか」日本は『自殺率』が恐ろしく高い先進国であり、スパイ防止法が無い国でもある。暗殺し放題。

「ああ。スパイ機としても優秀なんだよな。某地図サイトから仕事の依頼来ている」「マジか」


 そこで言葉を切る未来。

「女子高生がある日拉致されて性暴行されて山に捨てられるなんてよくありそうな事件だし」「うわ……」身を震わせる未来。ドン引きの澪。

「まぁほどほどにやるさ」「うへぇ」「いざとなったら新堀のおっちゃんにかくまってもらう」結局他人任せかっ?!

「とりあえず今回の仕事は大変だった」「へぇ」

「私が在学中に宇宙に行けたらいいのだが」「あはは。いくら新堀のおじさんが手伝ってくれても無理があるんじゃない」

笑う旧友は新堀の父とも面識がある。その様子を眺めながら未来は夏の空に目をやった。

ここでは見えないが、あの小さな支援機たちはいまも人類の営みを見守っているのだ。

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