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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
希望編。夢の先には勇気の未来(みき)

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UI改善計画の邪魔っ子、未来さん

 カラ梅雨真っ盛り。クーラー完備の旧神楽坂高校校舎。

クーラーの恩恵を感じまくり、半裸で騒ぎを起こす旧雷鳴館の生徒たち。

今更ながら合併に苦言を示すお嬢様方を意に介さず我らの未来は。


「すー すー すやすや」


 授業中に寝ていた。

退学になるぞ。未来。


「起きろ。起きんか未来」「大崎先生。あと五分」


 予想外に色っぽい声で悶えるようにつぶやく未来。

口元からよだれを垂らして結構情けない。


「未来」「大崎先生。愛していますからあと一〇分」

「遥。授業が終わるだろうがッ 」


 存在感のない天文部顧問。

大崎正樹は無言で名簿を未来の頭に落とした。


「大崎がぶった~ ぶった~ 」「手が滑っただけだ。授業を続ける」

大崎顧問はスタスタと歩み去り、授業を再開する。旧神楽坂時代からの数少ない男性である彼は気苦労が多い。具体的に言うとトイレで苦労する。

大崎の苦労に限らず、この校舎は現在急ピッチで男子トイレを増築中である。頻尿の生徒は苦労している。


「大崎先生。暴力は良くないッス」水鏡澪が呟くが、大崎は無視。

この学校はお嬢様高の伝統にのっとり、手の甲に指示棒打ちくらいの体罰は残っている。


「毎日毎日授業中や休み時間にプロレスをするお前らが言うな」


 そういわれて水鏡澪と彼の相棒の霧島和人が舌は出し合う。

「乱闘の黙認良くねえっすよ」「お前が言うな。水野」

大柄な少女は大人の男顔負けの背丈を誇るが、胸もまたデカい。

茶髪にピアスに健康的な太ももが露出する旧雷鳴館の制服。

別にミニスカートに改造しているわけではない。

上背が180センチ超えでそう見えるだけだ。

ちなみに旧神楽坂の制服は極めて割高で購入できない生徒は少なからずいる。

「前はジャージで良かったのに」窮屈で死ぬと胸元を引っ張る水野。

ブチブチと音を立ててボタンがいくつか吹っ飛んだ。後でシラアエが直すと思われる。


ハルカナルの奴、最近よく寝ているけどマジで留年食らうぞ」水野が近くの席のシラアエに声をかけるが、シラアエは無視。授業中だからだが。



「マジで忙しすぎて授業中しか寝れない」


 未来が本末転倒な発言を放つと天文部の皆は呆れた。

「部長。さすがに留年して部長にとどまるとか言ったら追い出しますよ」「解っている」

煩型の生徒はトックリだけではない。下級生にもいる。

「しかし何故いつも寝ていたりエスケープを」「企業秘密」


 「部長」

トックリこと徳永栞の瞳がすぅとほそまっていく。

「部長」「ハルカナル」マジで吊るすぞ。な勢いで新田と小早川の目も細まる。


 ダラダラと額から汗を流す未来。

「アレだ。ほりりんに聞いてほしい」新堀は未来の会社のスポンサーでもある。

「簡単に言うと、成層圏から物体を落として音響や空気抵抗、そにっくぶーむ? だったっけ。……の調査を行い、音の出ない超音速機を作る仕事とか、『こすもす』の子機にあたる気球群で地球圏を覆って世界中でつながるインターネットプロバイダサービスを作る仕事があってだな」


 新田はつぶやいた。

「UI改善にその技術使えません? 支援情報的に」「出来ると思う」

「と言うか、降下その他にも利用できますよね」「出来る」


「とりあえず吊るそう」「まったっ?! もう吊るさないって言ったじゃないかっ?! 」

久々に更新してこれじゃな。未来さん。

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