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星のかなたに
「レア博士。レア博士」「なんですか。飯島さん」
「星が、あふれそう」「ですね」
高度を上げていく『こすもす』の中で、飯島を愛おしそうに見るレア博士。
「子供のことを思い出します。夫と」微笑む飯島。
「このまま、星のかなたに行きましょうか」「嬉しいですけど。飯島さん」
彼女さんが怒るでしょう? そういってレア博士は微笑んだ。苦笑いの飯島。
「銃の持ち込みは禁止ですよ」「見抜いていらっしゃるんですね」
「そりゃ、あなたが宇宙で死のうとするのは想定内ですから」「……」
星の海にむけて『こすもす』は登っていく。
「私を星の海に捨てていってください」「無理です。あなたは生きていますから」
人は、大地の上で死ぬのが一番ですよ。
「私は、大地の上で死にたくないのです」博士はそういった。
「ねぇ。博士。何処に降りたいですか? 」「……」
『こすもす』は地球へ向かい、ゆっくり降りて行った。




