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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
始動編。逝くも消えるも死出の未来(みき)

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レア博士

 レア博士は20代の若さでV2ロケット開発に関わった。

歴史的なお話はすっ飛ばす。面倒だし。話としては暗すぎる。


 とにもかくにも、ソ連に捕まって身を穢されることはなんとか避けた彼女はアメリカにわたってからやっと念願の宇宙開発の研究に携わることが出来るようになった。

変節漢や裏切り者、収容所の捕虜を殺したなど等の汚名は甘んじて受けた。

彼女の夢はただひとつ。「宇宙に行きたい」だった。

しかし、医者は彼女の身体がロケットの衝撃に耐えることは出来ないと告げた。


 90を超えて死を目前とした彼女は、不思議な話をインターネットで知る。

日本の女子高生が飛行船を飛ばして成層圏まで旅する宇宙旅行社を設立した話を。


 どのような者が利用したか。

利用料金は格安。しかし実際に利用したものはゼロ。

ゼロ? 彼女は財産をまとめて日本に渡った。


 そして今。

「森田さん。この設計ですが」「飯島さん。飯島さんは子供です。宇宙空間のガンマ線などの対策は」

未来は当然そんなこと知らない「がんま? 」「……」

森田が自己開発したシールドを見せるがレア博士は首を振った。「お話になりません」



 「疲れた」

未来はぐったり。学校の宿題だけでもアレなのに冬休みを完全に潰してレア博士の説教を受ける羽目になった。

「僕も。子供や妊娠前の女の子や妊婦は宇宙船に乗るなって」飯島は苦笑い。

「ぴ……飯島君は20Gでも平気なんだけど」といい加減なことを言うかなた。

いくら飯島が軽量だといっても20Gも負荷をかければ体重は400kgだ。まともに考えて幼児の飯島は即死である。


 「お~い。メシだメシだ」

詐欺師夫婦は頭脳労働は基本苦手だ。修羅場には強いが。

赤松は工場に勤めていたし、清水は理容専門学校に通っていた関係か妙に器用。

森田やレア博士の助手にはちょうどいい。


 「この設計図通りに組めないのですか」「組めといえば組みますが……」

レア博士は苦笑い。「まだまだ出しますよ? 」詐欺師の赤松もレア博士の本気には戦慄した。


 「これで『こすもす』は重力圏を逃れることが可能になったはずです」

嬉しそうに微笑むレア博士におずおずと手をのばす飯島。


 「あの。依然日本に帰還できるかという問題があるのですが。そりゃがんばって飛びますけど」

レア博士はにっこり笑うと「私は宇宙まで行けたらそれで本望ですが、飯島さんはそうはいきませんよね。素敵な彼女さんもいらっしゃいますし」

すました顔でレア博士はそうのたまった。


 「? 」「……」

首をかしげる未来。そういえば飯島と他の子供たちが遊んでいる姿を見たことがない。

一方、未来の横では顔を真っ赤にしたかなたが悶絶していた。

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