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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
行動編。論より証拠の空の未来(みき)
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飯島君。成層圏に旅立つ

「はい。行くよ~」

未来はニコニコ笑いながら携帯電話スマートフォンを開いた。

「本当に大丈夫? 」飯島少年の不安そうな声がする。「大丈夫大丈夫! 多分」

「死んだら児童虐待で訴えてやる」「……」


 ドンドン膨らんでいく『こすもす』。

銀の飛行船の勇姿は男を捨てた娘でもときめきを禁じえない。

もちろん、これまでに製作にかかわってきたメンバーたちもだ。


 未来は今更なことに気がついた。

「そういえば、飯島君の親御さんは? 」

「親はいない」ということだが、保護者くらいはいるだろう。

というか、なんであの子は自分のマンションに住み着いているんだ? 何者?


 思案する未来に聞き覚えのある声。

「ここだけど? 」「ゲッ? かなたババァ!? 」

「誰がババァですって? 」かなたと呼ばれた女性は眉間を吊り上げた。

はるかかなた。陸上自衛隊に勤める未来から見て傍系の親戚である。

「うちの子がそっちに勝手に行ってたみたいだけど」とぼやくかなた。話についていけず取り残される未来。

 つかつかとヒールを叩きつけるように進むかなた。その綺麗な顔立ちの鼻元が歪み、飛行船『こすもす』に向けて怒声が飛ぶ。

「ピートッ! でてきなさいッ!!! 」「ぴーと? 」

首をかしげる未来の携帯電話スマートフォンから突如着信音。

「はい。ハルカナルですが」携帯に出て律儀に返事。

「急用が出来ました。今すぐ成層圏に旅立ちます」飯島の声が聞こえた。

 そのことを告げるとかなたは本格的にキレた。

「こらぁあああああああああああああっ!!!! 降りてきなさいッ!!!!!!!!! 」「やだ」

携帯電話を奪い取ったかなた。飛行船のパイロットルームで頭を抱えてしゃがみこみ無視を決め込む飯島。

漫才を始めるうちに『こすもす』は遥か天に向かって飛んでいく。

「航空自衛隊ッ! 今すぐこの画像の気球を撃墜してッ! 」「ちょ?! 」

かなたは陸上自衛隊の一兵卒のはずなのだが、なぜか妙に権力がある。

未来にとっては容姿以上に謎の多い女だ。遠い親戚なのは間違いないが。

「かなたオバ……ネエ。あの子誰? 」未来はかなたに質問したが。

「あの子は私のダ……、ど、どうでもいいでしょ?! 」はぐらかされた。よくわからん。


 かなたも謎の多い女だ。未来は彼女がハルカナルの外縁らしいとは知っているがどういう繋がりか知らない。

姓は漢字が同じで読みの違う「はるか」。つまり「はるかかなた」が彼女の名前である。

年齢不詳。自称34歳だが、どう見ても20歳そこそこくらいにしか見えない。本当にそう見える。

年齢不詳はハルカナルの親族では珍しくもないが、あの親族はバケモノかと未来でも思ってしまうほど若作りだ。

まぁ、変人揃いな遥一族だが母方の親類よりは色々とマシだが。

連中はいまだ刑務所にいるらしいし。とぉちゃんは苦労したんだろう。たぶん。


 未来が父に想いを馳せている間にかなたのヒステリーは酷い事になっている。

「撃墜はまだかっ?! 」「ちょ……殺しちゃまずいでしょ」

「あの子は死なないッ! 私は信じているッ! 」信じるところがおかしい。

「いや、それ殺人……」ドン引きしている『こすもす』メンバーと神楽坂高校天文部メンバーを尻目にかなたは地団駄を踏んでいた。

「もうっ! こんなことしてっ!! 何かあっても知らないからっ!!! 」

空自の猛攻を『何故か』ひらひらとかわした『こすもす』は成層圏へと旅立っていった。

 飯島は後に『みらい』破壊テロを鎮圧した栄光のTHBF隊副長の座に収まるのだが、

この時点の未来は知らない。飯島の『本当の年齢』も後に知ったくらいだ。

飯島ことピートと、遥かなたの物語は、後の機会に。

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