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そして 宇宙(そら)に向かう船  作者: 鴉野 兄貴
行動編。論より証拠の空の未来(みき)

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19/78

会議は踊らない

「宇宙旅行をします。パイロットは飯島君です。お仕舞い。コレにて会議終了」


『はやっ?!』

森田、鄭、赤松と清水、飯島は一斉に突っ込んだ。というか、意見も聞かんのか。


 森田が苦笑いしつつ、

「昔あった赤い車のガチャガチャの会社の社長がこんな人だったって言うが」

鄭と赤松が「あ、俺、多分それ知ってる」と反応した。

清水がああ、その話は関係者がブログにしているなぁとかいいながらビールを配りだす。

気がついたら飯島少年と共に料理を作っている。食材は清水が持ってきたようだが。


「メッチャ美味しい」「だろ」清水はニヤリと笑った。

清水さんってコックさんなんですかと未来が聞く。

「本業は散髪屋だけどな」嘘をつけ。散髪屋の資格を持つだけだ。


「へぇ。じゃ、御自身でカットしてるんだ! その髪型カッコイイなぁ」

未来はマジマジと清水を見る。一見ロングのストレートだが、気付かれない程度の編みこみやカールも入れていて相当手間隙かかっている。

「実は裏技があってな。比較的短時間にまとめられる」「え~! 教えてくださいよっ?! 」

話が超脱線しそうなのでおっちゃん一号(森田)が咳払いし、おっちゃん二号(鄭)が「俺帰って良い? 」と言い出した。


 そもそも、鄭は立派な有限会社『ちゃりんこ』(そのまんま)の社長である。

別に未来に付き合う理由も何もない。親友についてきたのが実情だ。

あと、旧知の清水に会えたのが嬉しいだけで。


「じゃ、終わりだから。あとは皆で親睦を深めるのだ」「ちょ?! 社長?! 社長?! 」

一番困るのは飯島である。初対面の未来に何故か宇宙船に乗れとか言われたのだから。

「そもそも、なんで僕がパイロットなんですか? 」「君が一番軽いのだよ」

と、いうか、飯島の見た目は5歳の幼児だが、言動は誰より『大人』だったり。


「なんか言うことあるでしょう。社長」赤松はこの手の『社長』には慣れているつもりだったが。

「ワシが『こすもす』社長。ハルカナル未来みきであるっ!! 」


「清水。ビール頼む」「あ、ボクはコーラ」「あ、ワシは緑茶」「俺、店あるから帰ろうかな」


……。

 ……。


「清水さん。何年ぶりだ? 」

「五年ぶりだな。鄭。って、オレの年齢がバレるから辞めろ」

清水は軽く鄭を睨んだ。鄭は楽しそうに肩をすくめる。

「清水ってマジ美人だったんだなぁ。前はツンツン髪だったけど。赤松。お前って奴は」

鄭は赤松の脇をツンツンつついて楽しそうにしている。真っ赤になる赤松夫妻。見かけによらずラブラブらしい。


「美人といえばユンファさ」「そうそう、メッチャ美人だったよなっ! 鄭の果報者! 」赤松夫妻が何か言おうとすると急に鄭は立ち上がった。

「帰るわ。赤松。清水。楽しかったぜ」鄭はひょいっとマンションの窓から飛び降りた。

「ここ」未来は呆然としている。鄭は未来のマンションの窓から飛び降り、軽く壁を蹴ったかと思うとぱぱぱっと木々やビルを駆けて行く。


 おっちゃん。ニンジャだったんだ。

未来は鄭に対する認識を改めた。誰彼問わずナンパする軽いおっちゃんだと思ってた。

「あの人、サブパイロットに欲しいね。身長157で体重48キロだって言ってたし」未来より軽い。


 でさ。

飯島少年は呟いた。「なんでボクが」

「ワシが。『こすもす』社長。ハルカナル未来ミライである」

ふんぞりかえる未来。


 諦めろ。森田は呟いた。

清水は手馴れた仕草で愛する夫にご飯をよそっていた。

「もうちょっとしたら腹が出るんだろうケドなぁ」「楽しみだなぁ」

人の家でラブラブしている清水夫妻は、飯島少年の嘆きに鈍感であった。

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