重力脱出圏は高度110km 人口衛星は高度2000km!
計算するまでもない頭の痛い問題の数々を華麗?に未来はブン投げていきます。
「可能だぞ」
おっちゃん。森田正志はそういってニヤリと笑った。
「まず赤道から打ち上げ」「え~。お金かかるじゃん。日本から行こう! 」
「……」「……」絶句する高峰姉妹だが森田は未来の扱いに早くも慣れだしていた。
「勝手に他所の国の空の上飛んだら撃墜されたりしない? 」するぞ。潤子。
「なら、日本からいくしかないなっ! 」人の話きいてるのか。未来。
「まず、ジェット気流に乗る。日本は北緯40度付近の寒帯ジェット気流および北緯30度付近の亜熱帯ジェット気流が合流する。日本が実効支配中の領土最南端は東京都沖ノ鳥島。北緯20度25分31秒(東経136度04分11秒)。最北端は北海道弁天島。北緯45度31分35秒(東経141度55分09秒)。
二つの気流の力に乗ることは不可能ではない」
「おお。Wパワーっすなっ! 」未来は意味がわかっていないがすごいことだけは理解した。
ちなみに、ダブルをWと表現する国は日本しかない。
「ジェット気流が生み出す速度は季節にもよるが二つのジェット気流双方の力を得ることで最大風速は100m/s。夏場はその半分しか出ない。1903年にコンスタンチン・ツィオルコフスキーが提唱した『反作用利用装置による宇宙探検』で提唱されている8km/sを超えるためには」
森田は複雑な話をしつつ、計算式を書いていくが未来には「なるほど! わからん! 」らしい。
「あれ? あたしなんか言いたかったんだけど」「私も」
作者権限で潤子&和代の科学的ツッコミスキルは封印した。
「お譲さんは無重力の世界までいきたいのか? 」「当然! 」
森田はため息をついた。「成層圏から更に60kmの上昇を必要とするが」
「おお! 3日あれば走っていける! 」どんだけ体力あるんだよ。
「垂直なんだが」森田は苦笑する。「登り棒は得意ッス! 」もう駄目だ。こいつ。
森田は変なことを聞き出した。
「お嬢さんは体重何キロだい? 」「乙女に体重を聞くのですかっ?! 」
「簡単に言おう。高いところに重いものを運ぶためは膨大なエネルギーを消費する」
意味がわかっていないと判断した森田は参考までにと言う。
「ロケットで言おう。パイロットの体重が1キロ増えるごとに」
とんでもない金額が森田の口から飛び出した。
「身長158センチ。体重52キロ。スリーサイズは81/62/88っす」
「スリーサイズまでは不要だ」「すいません。鍛えております」自慢したいのである。
ちなみに、グラビアアイドルなどのウエスト58センチとかは大嘘なので注意である。
未来くらいの背丈ならば余裕でウエスト66cmとかでも健康体だ。
間違っても彼女に巻尺を持ち出したりしてはいけない。
そもそも女の子は詰まりやすい。何がとか聞くな。
「みっちゃん細いねぇ」「あんたにいわれたくない」
潤子の服の上からでもわかる異常にデカイ乳と制服のすそからチラチラするやわらかそうなくびれを見ながら悪態をつく未来。
未来より身長が5センチほど高いが体重はもっと軽い和代は黙っていたが。
「和代さん。わたくし思いますに」「あら。未来さん」
「和代さん。お願いします」「いえいえ。未来さんが成すべきことでしょう」
過酷なダイエットを忌避するための未来の不毛な努力が開始された。
註訳)成層圏である高度50kmまではこの物語に登場する「こすもす」で到達可能ですが、
そこから重力消失点まで更にに60km(高度110km)。衛星軌道にまでは最低でも更に1950km(高度2000km)の高度が必要且つ、人口衛星の安定速度に追いつくことは現実には考えるまでもなく不可能のはずです。
というか、加速がすごすぎて未来がぺちゃんこになるんじゃないか?
この物語では「女子高生が小遣い銭で宇宙事業を始め、やがて平和の礎になっていく」ことが重要であり、成層圏までいけるのはウソではないので後は大嘘でいいやと企画段階からブン投げています。
位置エネルギー的に残り60kmの上昇ってどうするのかとか、
気球が生み出す速度的に大気圏の脱出に必要な加速を得る事はできないんじゃないかとか、
そもそも衛星軌道にどうやって乗るんだとか作者でも??の連続です。
『まぁ遥だからいっか』(適当)
おっちゃんの謎技術?ですね。




