好きですの別の言い方を考える。
「好きですの別の言い方ない?」
「なんやろ、お慕いしております、とかか?」
「ぴんとこうへんなぁ」
「知らんがな、なんなん?好きです言うたらええやん」
「それ皆つこてるやん、俺だけのオリジナリティが欲しいんよ」
「オリジナリティて、月が綺麗ですねみたいなん?」
「そうそう」
「じゃ、自分で考えたらええやん」
「それが思いつかんのや」
「じゃあ好きですでええやん、無難やん」
「愛の告白に無難て」
「皆つこてるてことはやな、失敗が少ないいうことやで、いつからつこてるか知らんけど、こんなに長いこと愛の告白に使われてきたわけやん、つーか定番やん、ご飯かパンくらい主食やん、どストレートでええやん、変化球なんかいらんよ、ど真ん中真っ直ぐゴリゴリの165キロ投げたらええやん、その方がかっこええよ、打たせて取るピッチングなんかいらんて」
「せやな、なんかでもな、恥ずかしやん」
「言うのが?」
「うん」
「つーかお前坂木さんに言うんやろ?」
「他に誰がおるねん」
「お前付き合っとるのに今更好きです言うん?つーか付き合う時はなんて言ったん?」
「なんも言うてない」
「坂木さんから言うてくれたん?」
「ちゃう、俺から言うた」
「なんて言うたん?」
「俺がこんなにお前に心を砕いとるんやからお前は俺と付き合わなあかん思うわって」
「なにそれ、脅迫?」
「ちゃうわ、一世一代の愛の告白や」
「え、それでええの?一世一代の愛の告白それでええの?」
「でもそれで渚ええ言うてくれたで」
「坂木さんなんて返事してくれたん?」
「そうかもねって」
「まぁ、坂木さんがええならええんちゃうの」
「なんかでも、なんて言うたらええんかな」
「なんやねん」
「俺のさ、この気持ち」
「うん?」
「全然正しく渚に伝わってない思うんよ」
「伝わっとるやろ、多分」
「嫌、俺がこう、死ぬほど渚のこと好きやって渚には全然伝わってない思うわ」
「まぁ、お前大分重いもんな」
「一途やねん」
「なんでドヤ顔やねん」
「俺くらい一途に一人の女の子を好きやった男なんてこの世におらんよ」
「嫌おるやろ、幼馴染好きな男なんか山ほどおるわ」
「なに言うてるねん、俺はずっと渚が好きなんやで、渚だけが好きなんやで、他の女子なんて見たことないよ、俺はどうしたって報われるべきやん」
「何そのとんでも理論、お前怖いよ、自分のことしか考えてないやん」
「自分のことなんか考えてないよ、渚のことしか考えてないよ、俺は」
「それも怖いわ」
「話戻すけど」
「ああ、戻して」
「要約するとやな」
「うん」
「俺は渚が死ぬほど好きなわけやん」
「うん」
「この死ぬほど好きな俺の気持ちに対して好きですって言葉が追いついてないんよ」
「ごめん、ようわからん」
「なんでやねん」
「死ぬほど好きなんやろ、じゃあ死ぬほど好きですでええやん」
「俺より渚好きな奴おらんやん、その俺がやで、その辺の有象無象と同じ言い回しで渚に気持ち伝える?納得いかんわ」
「嫌知らんわ、何がそんな不満やねん」
「全部や、渚に関しては俺以外報われたらあかんやん」
「何言うてるん?」
「俺以外渚の視界に入るべきちゃうわ」
「は?」
「俺以外渚と話すべきちゃう」
「なんやそれ、どうせいいうねん」
「渚に俺以外の男と話してほしない」
「そんなん無理やん、坂木さんにどうやって暮らせ言うんよ、愛重いっていうか、わがままなだけやん」
「だって俺はこんなに苦しんでるんやで、渚は俺を救助する義務があるわ」
「救助て、自分で勝手に追い込んどるだけやん、自作自演やん」
「なんであのクラス男子ばっかおるん?」
「一緒や、男女比率一緒」
「この世から俺とお前以外の男子皆女子にならんかな」
「ならんわ、つーか俺ええんや?」
「お前は俺の友達やもん」
「なんやちょっと感動してまうやん」
「あと、渚のオトンとお兄も許さなあかんやろなぁ」
「俺のオトンも許して欲しいんやけど」
「そやな、俺のオトンとあー、姉ちゃんの旦那もやな」
「嫌もうええよ、好きですの別の言い方やろ、お前の許可はええねん」
「渚にな、俺はわからせたいねん」
「お前の異常さを?」
「ちゃう、愛やん」
「愛かぁ、そんな可愛らしいもんちゃうやん、俺以外の男死ね言うてるやん」
「死ねとは言うてへんちゃうかなぁ、まぁおらんでええとは思うけど」
「言うてるのと一緒やん」
「渚はなんもわかってへんねん、あいつめちゃくちゃ鈍いねん、心の機微とかようわからんねん」
「そうなん?つーか俺も坂木さんのことようわからんわ」
「お前はわからんでええやん、俺はわかりたいよ、渚のこと全部知ってたい、本人が知らんとこまで」
「だから怖いて、なんでそんなになってもうたん?何がお前をそうさせるん?」
「わからん、でも俺渚より興味あるもんないんよ」
「それは別にかまへんけど」
「趣味やねん」
「趣味?」
「渚は俺の趣味やねん」
「それでええやん」
「は?」
「お前が趣味やねん」
「それ伝わる?」
「伝わるんちゃう、なんかようわからんけどめっちゃ好きって」
「渚、俺の趣味お前やねん」
「ええやん」
「でもこれ伝わっても恥ずかしな、めっちゃ好きって言ってるようなもんやん」
「嫌、それでええやん」
「もっとそこはかとなく伝えられへんか?」
「じゃかましわ」




