婿に入るはずの屑が多い事よ
異世界恋愛をたくさん読ませいていただく中で、私のぶつけたいもやもやを3人に吐き出してもらいました。
「いつ見ても侯爵家の庭園は見事ね」
シアが一面に広がるバラ園を眺めながらため息をついた。
赤色の髪がサラサラと揺れ、キラキラと輝いた。
「あら、ありがとう。どうしたの?ため息なんかついて」
今日は仲良し3人のいつものお茶会、ウィルストン伯爵家のアニー、さっきからため息をついているコニード伯爵家のシア、そしてローゼン侯爵家の長子である私エレノアは、同じ学園に通う幼馴染、月に一度は集まり、気がねないおしゃべりをしている。
「だってね。エレノア、私のいとこのクララが、ひどい目にあったのよ」
「アルバンス子爵の?かわいい子よね。年はひとつ下だったかしら?」
そう言いながらアニーがクッキーを口に運ぶ。
「そうでしょ。すごくかわいい子なの。そのうえ成績も優秀で、いとこの私も羨ましいし、自慢なの。クララには年の離れた妹がいるだけだから、アルバンス家は、クララがお婿さんを迎えて、家を継ぐ事になっていて。豊かな農地を領地に持っているから、農産が盛んで、農業の効率化のためにいろいろな事業も伯父さまと取り組んでいるの」
「それのどこが、ひどい目に?」
「問題は、婿に入る予定のマクロス伯爵家の3男よ!」
さっきまでため息ばかりのシアが急に顔を赤くしてぷりぷり怒り出す。
「あの屑であたまお花畑、ほんとに信じられないのよ!子爵家でのディナーの席で、婚姻する際には、花屋の娘を妾として連れてくる予定だと言い放ったのよ!ちょうどうちの家族も子爵家との事業の相談で、一緒に食事をしていたから。私もおじゃましてたのだけれど、まったく何を言ってるのか最初は理解できなかったもの」
「馬鹿ですの?」
エレノアの眉間にしわが寄る。
「で、どうなったの?」
「もちろん伯父はカンカンよ、爵位が下とはいえ、婿に来るのに、婚約の最中から妾を連れて婿入りする事を宣言するなんて!クララはしっかりしているから直ぐにその場に伯爵家のご両親に来てもらい、そのまま話し合い。婚約はマクロス伯爵家有責で破棄、多額の慰謝料を払い共同事業も見直し。クララはもともと婚約者の事が気に入らなかったみたいだからすっきりしたみたいだけど」
「婚約者はどうなったの?」
「もちろん、責任を取らされてるわ。伯爵は激怒して、慰謝料を払うために領地に下げて鉱山で働かされているみたい。屑を野放しにもできないでしょ。花屋の娘との関係はただの客としてでしかなかったみたいだから、花屋もとんだ迷惑よね」
「……………同じ言葉が話せる人間とは思えないわね」
アニーは丸い目をさらにまんまるにさせた。
「そういえば、うちのクラスにも屑がいたわね」
「あー、ハリーね。マイラ伯爵令嬢がほんと気の毒だったもの」
「ひとつ歳下の子爵令嬢でしたっけ?まあ恥ずかしくもなく、男性の腕にぶら下がって学園の廊下を歩けるものね。」
「マイラ様も婚約破棄しましたのよ」
「えー。いつのまに?」
「つい先日よ、マイラ様と二人のお茶会に、子爵令嬢をぶら下げてやってきたハリー様は、卒業後結婚する際は、第二夫人として連れて行くと言ったんですって」
「あら。本当に似たような馬鹿ね」
「でやっぱり領地に引きこもり?」
「伯爵家の同格としてご両親同士はとても仲が良くて、もちろんハリー様の有責で、慰謝料を払ったみたいよ」
「マイラ様は婚約者と良い関係性を築こうと頑張っていたから、落ち込んでいるみたい。ハリー様のご両親が実の娘の様にかわいがっていたマイラ様を、あんな形で裏切ったんだもの、ハリー様は貴族籍を除籍されて平民になったようよ。子爵家にも慰謝料の請求が行って、あのふわふわ頭も修道院ですって」
「あら、退学したのね、気が付かなかった」
にっこりとエレノアがほほ笑む。
「しかしなんともどうしてこう、まともな両親に育てられたのに、頭がお花畑みたいに常識を理解できない人がいるのかしらね?」
「そうよね。昨年いい見本がいたのにね」
「第二王子ね! ほんとびっくりした。あのピンクふわふわ頭を腕にぶら下げて、婚約破棄だと卒業パーティーで叫んだときは、自分の眼を疑ったくらいよ!」
「ほんとセシリア侯爵令嬢が今は幸せだからいいものの」
「そうね、今は隣のクリーネ王国の王妃様ですものね」
「アーサー殿下のセシリア様をさっと背にかばう姿は素敵だったわー」
「ところであの二人は今頃どうしてるかしら?」
「元王子殿下は、王籍を外され、騎士として辺境伯に鍛えなおされているのでしょ?ピンクふわふわは、確か商家の何番目かの後妻に慰謝料返済のために売られたはずよ」
「どうして自分は婚約者を蔑ろにして、幸せになれると思うのかしら。元第二王子なんて、侯爵家への婿入りを男爵家のそれも跡取りでもない令嬢にしてどうするつもりだったのかしら」
「目の前の事しか見えていないのでしょうね」
「ほんと!婿に入るはずの屑が多い事よ!」
「馬鹿なのね」
「馬鹿なのよ」
「エレノア、ローゼン侯爵家に入る第三王子殿下は悪いうわさも聞かないし大丈夫よね?」
「もちろん!年下だけど頼れる誠実な方よ、そういうアニーは大丈夫?」
「私は婿を取るわけでないもの、やさしいセオ様にお嫁に行くのよ」
「初夜に君を愛する気はない!なんて言われたらどうするの?」
「もーシアだって愛しの婚約者はどうなのよ」
「私たちはちゃんと愛し合っているし、もう家の仕事も手伝い始めているのよ!卒業と同時に結婚するんだから!」
三人は同時に立ち上り、顔を寄せた。
「念には念を入れた方がいいわよね」
「信じているけど確認は大事よ」
「そうね、こうしてはいられないわね」
テーブルの中央で三人拳を合わせる。
「まずは現状の確認!問題があれば即座に対応!」
「必要な力は影でも父でも貸しますわよ」
「善は急げ!」
「「「 レッツ ゴー 」」」
三人は淑女の笑みを浮かべ、今日のにぎやかなお茶会はお開きとなった。
仲良し3人の婚約者は、お花畑の屑ではありませんでした。
沢山 誤字脱字がありました。修正ありがとうございます。




