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第三十四話 GOGOニュー死活部!!

むしろ:主人公。世界への反抗心から死を追い求める。流されやすい性格。

うつろ:死を撮りたい狂人。脳をいじって記憶を消す術を持つ。

めいろ:うつろの旧友。死を嫌う常識人。少し押し付けがましい。

今日も学園は静かだ。

うつろは私に笑顔を見せて、普段通りの生活を送っている。

他のものなんて私にはもったいない。


ここ数ヶ月の記憶はない。

今までどうやって暮らしてきたのか、なぜこの学園に入学したのか。

だけれど、それは大事なことではない。

この何もない生活こそが何よりの…。


頭が熱い。

これは…私の記憶?

機械から挿入されるのは非日常な殺戮。

うつろが…私のうつろが遠ざかる。

嫌だ。

嫌だ。


「…うつろ!!」

「おはよう、めいろ。」

眼前に立つのはうつろを悪の道に染め上げた、ファムファタール。


むしろだった。


突然襲いかかるのは恐怖心である。

うつろは…うつろはどこ??

私にとっての…

「…て、んし。」


夢であって欲しかった。

むしろの隣に立っていたのは、忌まわしき死徒。

うつろに他ならなかった。


「むしろちゃん…。まずあなたのお話から聞きたいわ。どうしてこいつも蘇らせたのか。」


むしろは静かに窓を見ていた。


溢れ出るのは悲しみか、それとも怒りか。

私は彼女を見るのをやめたのだ。


「…私の死に二人とも必要だから。」


うつろは目を丸くした。

きっぱりとそして、あっさりと公言したのだ。


「…ざけんじゃないわよ。」

辛抱ならなかった。恐怖に打ち勝ってでも立ち向かわなきゃならない、そう思ったから。


「…私はむしろの死に協力しない!!そんなの普通の学生がすることじゃないわ!!」

「私たちは普通じゃないよ。」


そのカウンターは強力すぎた。


「こーんな非協力的な子、いや敵を復活させるだなんて。入れ知恵をした子がいるのね。」

うつろは私を見下していた。


『めいろちゃんってちょっとお転婆ね!』


そう声をかけてくれる人はもういない。


「私の考えだよ、うつろちゃん。協力してくれた人はいるけど。」


その眼光は鋭い。

腑抜けたむしろはもういない。


(隙を見つけて殺さなきゃ)

拳銃はない。

武器になりそうなものは…カッターナイフか。

やるしか…。


「それで、このチョーカー。ある人間の心臓が止まると爆発する仕組みになってるんだ。」

むしろは物騒なことを言い出した。


「…私の首につけるつもり?それでも私は何度だって健全なる正義のために…」

「ちょっと待ってよ、めいろちゃん。これをつけるのは私だよ。」


「「え?」」

うつろとハモった。


しばしば静寂が流れた。

アナログ時計が針を揺らす。

風はビュービューと音を立てる。

廊下の外では話し声が聞こえる。


そして、むしろは口を開いた。

「二人が眠っていた一ヶ月の間に【死ぬ方法を確立したの】、だから本当の本当に死ねるんだよ。」


「でも理想にはほど遠くて…だからまだ準備が必要なの。」


「私はうつろの心臓が止まったら【私も死ぬ】。めいろちゃんがそれでも殺すなら、まあ仕方ないね。」


い、イカれてるわ…。


「…私は、いつだって二人を殺せるのよ!!そんなバカな話!!」

「違うよ。次で終わり。生き返ることを前提とした殺害はもう終わりなの。」


冷静に諭すことに身の毛がよだつ。

私は再び命の重みについて考えさせられるのだ。


それが旧来の価値観だと気づいたのは大人になってからだった。


***


うつろは考えていた。

むしろの発言がどこまで真実かを。


(たった一ヶ月。そんな短い時間で万能細胞を殺し切る術が見つかったって言うの?)


うつろには到底信じられない話だった。なぜならば五月に出会い、それから五ヶ月、必死に死を探してきたのだ。


正直見つかるはずがないとたかをくくっていたのだ。


「むしろちゃん、死ぬ方法について詳しく知りたいんだけど…。」

「…?ああ!計画の粗だけを取り除いたものだよ!!」


彼女は勢いよく立ち上がった。

ホコリっぽい部室。

差し込むのは淡い陽光だった。


「生徒全員の洗脳をやめたの。」

「あんたたちって本当に野蛮ね。」

めいろが茶々を入れる。


「待って、その暴力を持って重要データ、つまりむしろちゃんの戸籍を破壊するんじゃなかったの?」

「…うーん。新しい仲間は一騎当千なんだよ、文字通りね。」


ガラガラと音を立てて入ってきたのは背の高い女と見知った実験体だった。


「ごきげんよう、一般生徒ども!!ボクの名前はアポロ、明星アポロだ!!」

声のデカい髪長は堂々と私の前に座った。


「なんなのあんた。」

私はヤツを睨みつける。

この軽薄な女がそれほどの力を持っているようには思えないのだ。


「私はむしろさんのパートナーさ、【親密なチョメチョメ】ってやつだ、アッハッハ!!」

「えへへ。」


は?


その一言は私の脳を破壊した。

…物理的な意味ではないが。


「出会いは単純だった、君らを助けるためにむしろさんがボクの住処にやってきて──」

「アポロ?」

「その後は二人だけのお楽しみさ。」

「デートにも行ったんだぜ。」

「アポロッ!!」


イチャイチャするな、殺すぞ。


くっ。

まさかむしろちゃんが恋人を作っていたとは。

あのキスはなんだったのかしら。

煮えたぎる気持ち、嫉妬にしては味が薄かった。


(今の私の価値って何?)

めいろと同等に私を蘇らせた。

それはむしろちゃんにとって写真を撮ってくれる人としか見られていないのだろうか。


そのことを考えると胸が苦しくなる。


「…あのぉ私は…。」

「あんたはいいわ。せひろ。」

「ひ、ひどい。」


せひろ、記憶が残りやすいだけの少女。生徒会でもなくなった今現在この子にはなんの価値もない。


「…私だって、アポロさんに負けていません!!そのぉ…むしろチャンッを好んでいますから!!」


負けヒロイン宣言か?

アポロが驚いているのがなんとも奇怪ではあるが。


「…バカみたい。私帰るわ。」

めいろはドアの前に立つ。


「ダメだよめいろ!!」

むしろはめいろの腕を掴む。


若干の苛立ち。

私は我慢できるさ、大人だからね。


「これから5人でお泊まり会なんだから!!」


全員同じことを考えていたらしい。

え?という声が教室に響き渡った。


「お金は大丈夫!!さあGOGO!ニュー死活部!!」


彼女には驚かされてばかりだ。

「いいね、行こうかみんなで。」

「…ちょっと待って本当に行くの!?私イヤなんだけど!?」めいろは戸惑っている。


「ここでシニタクナイナー」

むしろは毒を仰ごうとしていた。


「わかったわかったから。」

めいろの顔は青かった。

どうやら彼女のトラウマらしい。


意地の悪い魔女によって不思議なパーティへと招かれた。

私たちは今回は被害者のようだ。

満面の笑みでホテルへと向かった。

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