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第十八話 おいおい召される。召されちゃうよ。

新たに始まった生活部。その業務内容は生徒会のパシリ!?飛び降りようとしている男子校生を救うため、駆り出された夢白たち。GO!!生活部!!

「近寄るな。とびおりるんだ。オレはぁ。」

今まさに飛び降りをしようと足をかけている。


駆けつけた一同は口々にやめさせようとする。

「そんなのダメ!!」

「話なら聞くよ!」

「その決断はまだ早すぎると思うな某は。」


私は彼に発した言葉はなんてことない慰めよりも欲しい言葉。

「ねぇ、一緒に死のうよ。」


一歩、一歩と彼に近づく。


めいろを筆頭に部員一同が息を呑んだ。


一番驚いたのは飛び降りしようとした本人だった。

「はぁ!?何いってんだよ。死ぬってどんなことだか、し、知らねえだろ?」

「私は知ってるよ。」


「壁に打ち付けられる感触も。全身が風をきる音も。そして…飛び降りた直後の逡巡の後悔も…。」


男子くんも黙ってしまった。


「で、でも。オレは…」

「ダメ。」


私は人差し指を口に当てる。

もう彼のすぐそばまで来ていた。


「あなたは私と飛び降りるか、それとも止めるかの二択しかないの。」

彼は少し考えたあと、しぶしぶ靴を履き教室へと帰っていった。

さあ事後処理だ。

行為の理由を突き止めて事件を未然に防がなきゃ!!


「…さあみんな。この後は何するんだっけ!!」


振り返ると…

あっれえ。おかしいな、みんな神妙な面持ちだなぁ。


「マジびっくりした〜。本気かと思っちゃったよ〜。」

「全くだ。なんともアグレッシブ!!だがスマートに解決した、万事よし!!三方よし!!喧嘩は江戸の華、愚痴は京都の甘味と言われているようだしねぇ!!」


めいろは私に近づき思いっきりの一発をかます。

バチコン

「バカ!!殺すわよ!!」

「ぐべぇ。ごめんて。」


頬がいでえ。

力強すぎでしょ…。


「ほら、会長のとこ行きましょう。」

「カイチョー?」


***

途中で保健室へと寄りほっぺたを冷やしながら生徒会室へと向かう。

そぞろとおぼろと別れ、私たち二人は事後報告と次の任務を含めた会議に参加するらしい。


(毎度こんな面倒なことをしてたのか…。)

会議という重苦しい言葉の圧と正体不明の生徒会とやらで心はざわついていた。


「私たちは生徒会の下請けまがいのことをしているって言ってたじゃない?」

「言ってたね。いろんな雑用をしてるって。おっと、ちゃんとした活動内容だったね。」


ノックノックノック。

ジョークを交わしながらも生徒会室の重い扉を開く。


「ふむふむ、ようやくやってきたな。ミスむしろ!!」


帰ろう。

ちょっと興味なかったけど今この人が生徒会長なの!?

もう帰ろう。


しのびあしで後ずさり。

「…こら、むしろ。ちゃんとしなさい!!」


めいろに叱られてしまった。とほほ。


「今は、生徒会メンバーが出払っていてね。私たち三人での会議になるが、いやはや仕方がないと言おうか。」

難解な言い回しをする会長はメガネをすちゃすちゃさせる。

うーん冗句。


「此度の事件の解明はされましたか?具体的に言えば男子校生の自◯未遂の理由をお聞かせ願えないでしょうか。」

おお。綺麗な日本語。


よーし真似してみよ。

「実に実に私たちは気になる所存でございます。時間もおしていますのでいと早くお聞かせ願えないでしょーか。」

完璧だ。


「そうか、頭が…。いやいい。件の話は内密に頼むよ。例の処理を済ましたからね。」


またバカにされた。

しかし、気になったのは最後の言葉。


「例の処理、とは?」

めいろが先んじる。


彼は慎重に言葉を選んだのだろう。

一人の身の上話が始まった。


「…これは我が学園に起きた悲劇だ。とある少女の話をしようか。」

その大きな体から出るのはバリトンボイス。


「元は平均的な女子生徒だったのだ。しかし、その少女はある日をさかいに別人のように変貌した。部活を立ち上げ、周囲から賞賛を浴び、そして暴力的な事件を起こした。」


「この街からはみ出しものを消したのだ。ヤクザやごろつき、半グレだけではない。ホームレスに、不法移民、怪しげなキャッチもだ。」


これって誰?

記憶ない時の私かな。


「そのものたちがどうなったかはわからない。聞くところによれば真っ当に働いているとか、別の街に逃げたとか。噂はまちまちだ。」


「なぜそんなことができたのか。協力者はいたのか、誰もわからない。全く情報が残っていない。」


「その理由はコレだ。」

一つの薬瓶。


「なんですか、コレ。」

おぞましさから真っ先に声をあげてしまった。


「記憶を消すクスリだ。」


めいろが駆けて、会長の胸ぐらを掴む。

「それを!!一般学生に使ったっていうの!?それが…真実なら…。」


ポケットに手を忍ばせる。

マズい…!

めいろの早撃ちが!!

会長が殺されちゃう!!


「話は最後まで聞くものだ。」

会長はめいろの腕を押さえ込む。

それはもうガッチリと。


「我々は公的機関と協力して、少女が持っていたクスリについて調べたのだ。それは…活性化細胞液。」


「現代医学でも使われる万能細胞の成長を早めるものだ。それをどう使ったのかはご想像にお任せしよう。」



なんか会話が終わった。

めいろは悔しそうな顔を見せた。


全く内容がわからない。

結局、例の処理って何?

自◯しそうになった子は?

その周囲とか、問題点とかは?


「では、会議は終わりだ。まもなく鐘が鳴り、退屈な時間が始まるだろう。まあそれも学生の本分であるからね。」


巨体から豪快な笑い声が溢れ出る。


モヤモヤは解消されず、教室へと戻るのだった。



***

家に帰っても、風呂に入ってもその混濁は気持ち悪いままだった。


つくづく短い髪でよかったと思う。

髪を縛るなんて面倒な手間したくないから。


はて。

結局生徒会が後始末をした、ということなのだろうか。

下請けにはその業務内容はわからない。

いや、わかっていないのは私だけなのだろうか?


うーん

ブクブク


うぃーーー。

頭まで浸かり、口から泡を出す。

気分はカニ。


ごえっほげほ。

むせたむせた。


すると…


「お姉ちゃん、大丈夫!!」

我が家の天使が心配しにきてくれたのだった。


「大丈夫だよ。ちょっと遊んでただけー。」

「遊んでたって。お姉ちゃんもう高校生でしょ!?」


こゝろよ。

人はいつだって童心に帰りたいものだ。

若返りがいつまでもトレンドなのはそういうことさ。


「もう!!」

妹はぷりぷりと怒って、すぐに服を脱ぎ始めた。


「ちょ。何して…!?」

「何って、私もお風呂入るの!!」


おいおい召される。召されちゃうよ。

私のおじさんの部分がモザイク音を引き下げながら発情している。


「「狭い…。」」

なんたる悲運。

国から支給された浴槽では二人は厳しいらしい。


大きくため息をついた。


「じゃあ、お姉ちゃんお風呂出て!で、背中出して!!」

「何する気?」


「決まってるじゃない。背中流すわ!!」


二度目の洗浄。

垢はすっかり落ちているはずだが、その甘言にあらがえるものはいない。

私が断言しよう。


「いくよ!!」

ごりっ。


「イタタタタ」

「まだまだ!!」

ごりっごりっ。


そのタオル強靭であり、垢を討ち新皮に届くほどであった。


もうこゝろに背中を洗ってもらうことはないだろう。

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