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第七半話 死ぬために生きようと。

第七話の続き、てきろのお話です。もとい彼女の過去編です。第七話を見てからだとより楽しめます。

この人とすっごいエッチしたい。


彼女≪むしろ≫に助けられたときにそう思った、それが私のオリジンだ。


こんにちは。私はてきろ、薬菜 滴路。

昨日は痴態をさらしてしまったが、今日こそむしろくんを落とそうじゃないか。


わが物顔で歩く廊下は、いつもより空気がおいしい。

まるで自分が大名であるかのように。

真ん中を突っ切る。


ああ。なんとも人生とは、青春とはすばらしいものだ。

周囲からの視線が、私に生を感じさせる。

あの子もあの子もみんな生きている。

すばらしい、極上だ!!


向かいからやってくるみくろくんと目が合ってしまった。

「こんにちは、今日もいい天気だ。まるで陽光が私たち“死活部”の未来を祝福してるかのようじゃないか!!」

「相変わらずだな…。」


みくろはいつもこうだ。

話を聞いているんだか、聞いてないんだか。

どこか気持ちは上の空。

まあ、友人としてその武力は頼りになるけど…。


「あのさぁ…。アタシ昨日部活行かなかったろ?姉御怒ってなかったか?」

「別に怒ってなかったけどどうかしたのかい?」



「いや別に…」

まったくみくろくんの苦手なとこはここだ!!

気持ちをストレートに表現してくれない。

むしろくんが怒ってなかった、なら君は何を思う。

安堵か、落胆か、それともなにかの仕返しを望んでいるのか!?

あわよくば師弟関係で私の知らない世界へと旅立つつもりか?

誰も触れない二人だけの国!?

むしろくんとめいろくんでぇ!?

くぅ~気になる…!!」


「途中から声漏れてたぞ。」

みくろはあきれていた。


おぅ。わ、私としたことが、すこし妄想を加速させてしまったみたいだ…。

「ま、まあお互い励んでいこうじゃないか…ハハ」

「何をだよ…。」


恥ずかしさからその場を去ってしまった。

ああ。なかったことにしたいものだ。


***

つい昔のことを思い出してしまう。


私は臆病だったんだ。

人に話しかけることを恐れ、仲良くすることに怯え、誰かが悪口を言っているかもしれないという恐怖に備えていた。


だからむしろくんが眩しく見えた。

自分に絶対的な自信をもって、周りからの信頼を積み重ねて。

一般人の成り上がり。

これほどまでに目を引かせる人物がリアルに存在するだろうか?


同じような境遇だと思っていたのに、とマイナスなことも思ったさ。


でも根っこが違ったんだと思う。


『私とともに来い、てきろ。死活部は君のような人間を求めている。』

『それってどういう…』


むしろは数秒考える。

『他の部活に入っておらず、なおかつ私の理念に共感を示すものだ。』


私はすぐに否定した。

『そ、そんな…。私は特にやりたいこともないですし…。死を探求するってのも、よくわかってないですし…。』

『いや、君は死にたいと願ったことがあるはずだ。誰も自分を必要としない、誰も信じることができない、ならば死んだほうが…。とかね。』


図星だった。

でも結局私は何もしていない。

細胞のせいで、国のせいで死ねないのは常識だからだ。

『私は、そんなこと…』

『素直に言うと。君のことが好きだ。胸が張り裂けるほどに。』


ちょ、え?むしろさんが私のことを!?なんでさ!!

『君は、自分の魅力をわかっていない。セクハラ気味にいえば…その体は芸術的だ。高い伸長、くりりとした目、そのモデルのようなプロポーション。そして…』

『そして…』


『きみの乳は美しい。』


初めての告白はセクハラ気味で、おっさんくさい下卑た最低な言葉。

それでもうれしかったのは、私のドロドロとした内面をあえて無視してくれたからだ…と思う。


『一緒のお墓に入ろう、てきろ。』

『生きようって言って。』

『やれやれ、私は死ぬために部活を作るんだよ?生きることを目標にしてちゃ…』

『違うわ。』


私はすぐに否定した。

『死ぬために、生きようってこと。あなたを支えるためにいっぱい思い出を作って、つらいことも悲しいことも嫌なことも、先に見える死があるから超えられる!!』

『そうか、それもいいね。ならば私は…。』


『私とともに来い、生きよう。てきろ。』

『もちろんだよ。いっぱい思い出作ろうね!』


これが彼女との出会い。

あるものは怪物と呼び、あるものはカリスマと呼ぶ。

でも私にとって彼女は…

理想のパートナーだった。


興味があるんだろ、と誘われた〇〇ホでも手を出されなかった。彼女から教えてくれた野球拳で私が全勝してしまい拗ねてしまったことが原因だろう。意外と抜けてるところがあって、かわいらしい一面もみせて、でもどんなときも自分の夢に一直線で、女子と思えないほどイケメンだった。


だから…

『ちょっと聞きたいんだけれど、あなたたちって…誰でしたっけ…?』

頭がまっしろになったんだ。


結局、彼女は私をおいて死んでしまった。

でもそのガワをした人間はここにいる、存在している。

それだけで生きる元気が湧いてきた。


コホン

わざとらしく咳込む。

(だったら最初からやり直そう。)

彼女の前で何べんも練習した自己紹介の名乗り向上。

ラブコールも添えて。


悪意を脱ぎ捨て純粋になってしまった彼女とまた歩んでいこう。

王子様でなくなった姫君を愛でていこう。

わたしはそう決心したのだ。


死ぬために生きようと。


もう一度だけ…抱きしめたいと。

来話はみくろの過去編です。

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