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メイクアップ! 見知らぬ幼馴染との逆転関係  作者: 長久
1章 嫌いな自分たちに、好きな自分たち
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4話

 慰めてくれてるんだろうな。


 可愛いを練り固めたような山吹さんに、僕のように陰気な男の気持ちが本当に理解出来る訳がない。


 本郷とかも好意があるみたく言っていたけど、学校で山吹さんはアイドルのようにモテてるじゃん。


 皆から可愛いって認めてもらえてるのに、認められない僕へ話を合わせてくれてるのか。


 優しい人なんだな。




「僕が誰にも認めてもらえないのも当然なんだけどね。……僕自身だって、自分が嫌いなんだし」




「誰も認めてくれないならさ、せめて自分だけは自分を認めて好きになってあげなきゃ」




 太陽のような笑顔が眩しい。


 髪で視界が覆われていて、良く見えないのが幸いした。


 直視していたら心まで焼き尽くされそうな輝きだ。




「自分を認めてあげられないなら、認められるように優しくしてあげるとか……。思い切って環境とか考え方をガラッと変えるのも有りかもね!」




 考え方を、か……。それが出来たら、良いよね。口で言うのは簡単だけど……。




 劣等感で捻くれた僕の性根は、そう簡単に変わるとは思えない。


 環境って言っても、高校デビューにも失敗してるし。


 そもそも人と関わらないのが正解なんだと思う。


 嬉しい出来事も少ないかもしれないけど、傷つく機会も同時に減るから。


 折角心配してアドバイスをしてくれる山吹さんに、そんな後ろ向きな事は言えないけどさ……。




「その……。僕そろそろ帰らないと、バイトに遅れちゃうから」




 結局、僕はこの場から逃げる選択をした。


 バイトに遅れそうなのは本当だけど……。


 それより、気持ちが耐えられなかった。


 考えれば考える程、素直にアドバイスを受け取り前向きになれない自分が嫌いになる。




「あっ、そっかぁ。残念」




 社交辞令ってやつかな。……いや、ランニングをサボれる時間が終わったから残念なのかもしれない。




「色々とありがとう。……でもあんまり、僕には話しかけない方が良いと思うよ。僕と一緒にいるのを快く思わない人も、きっと居ると思うしさ」




 本郷とか本郷とか、後はその取り巻きとか本郷とか。




「心配してくれてるの?」




 うん、僕の身の安全をね? 嬉しそうな顔をしないで、弾けるような笑顔を向けないで。


 女の子に免疫がない僕がそんな顔を向けられると、勘違いしちゃうよ?……好意を持ってくれてるのかなってさ。




「じゃあ、私も部活に戻るね! バイト、頑張ってね~」




 山吹さんが走り去る背を眺め、僕は早足でバイト先へと向かう。




 人って不思議だな……。不釣り合いだと分かっていても、好意を向けてくれているのかなって思えば、自分も好意を持ってしまう。




 中学からずっと1人ぼっちだった僕にはさ……。


 これが恋なのか、それとも違う感情なのかなんて、判別が出来ないよ――。 





 バイトを終えて自宅マンションへと帰り、自室へと荷物を置く。


 換気をしようと窓を開け、少しだけ夜空を眺め黄昏れていると――カララという音が聞こえた。




 ベランダにある『非常時にはここを破って避難してください』と書かれた蹴破り戸越しにだ。




「……そっか。伶桜も帰って来たんだな」

本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


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また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


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