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メイクアップ! 見知らぬ幼馴染との逆転関係  作者: 長久
1章 嫌いな自分たちに、好きな自分たち
14/64

14話

「……薫。そのままサンダルも履いてくれないか?」




「良いけど……。見えないからメガネを頂戴」 




「ああ、そうか……。ほら」




「ん」




 伶桜からメガネを受け取り、やっと視界が確保出来た。




 自分の髪じゃ無いものが乗っているのって、凄い違和感。……というか、伶桜の顔が赤くない? 網戸じゃなくしたし、室温も高いからかな。


 僕も頭が少し蒸れているしね。




「ほい、履いたよ」




「……メガネ、取るぞ?」 




 伶桜が手を伸ばし、僕のメガネを取る。


 再び視界が奪われた。輪郭だけしか見えないけど……。


 なんか、伶桜にジッと見られてる? すっごく怖いんだけど……。 




 静寂に耐えきれず言葉を発しようとした時――カシャッと、スマホで撮影する音が聞こえた。 




「ちょっ!? 今、撮ったよね!? 何、その写真で僕を脅してお金を巻き上げるつもり!?」




 本気で焦って止めようとするけど、伶桜との距離感が掴めない。




 すると――。




「バースト!? 連写してる!? もう、なんなのさ!?」




「……薫、メガネだ」




「あ、ありがとう。――じゃなくて、写真は消してよ! 似合わなくて気持ち悪いのは、分かってるんだからさぁ……。これ以上、僕をイジメないでよ」 




 恨めしい気持ちを込めて伶桜を睨むと――伶桜は床に崩れ落ち膝をついた。




 片手で胸を押さえている。……胸焼けする気持ち悪さって言いたいの? 流石の僕でも傷つくよ?




「上目遣い、メガネっ娘……更には僕っ娘に、女の娘だと? 可愛いのマシンガン。薫……俺を殺すつもりか?」 




「伶桜、そんな俗なネットスラングを知っていたんだね……。吐くなら床じゃなくて、トイレで吐いてよ」




「吐く? ……もしかして薫、自分で気付いて無いのか?」




「……何が?」




「……ほら」




 伶桜がスマホを手渡して来る。


 そこには僕のよく知る衣装と――知らない人が写っていた。




「……え? これ、誰?」 




 伶桜が無言で、俺を指差して来る。……またまた、ご冗談を。


 こんな可愛い子が、僕な訳がないじゃないか。 


 室内を歩き、クローゼットを開く。姿見鏡に映っていたのは――。




「――これが……僕?」




 何処かで聞いた事のあるような、月並みなセリフが思わず口から出てしまった。




 間違いなく、写真に映っていた女性が鏡の中に居る。


 え……もしかして、だけど。


 勘違いだったら、もの凄い恥ずかしいけど……。




「もしかして……さ。今の僕って、結構可愛い?」




 伶桜へ視線を向けると、サッと目を逸らされた。


 綺麗な頬はサクランボのように紅潮している。




「その……俺の理想の可愛い子、そのまんまだよ。俺が好きな服でメイクしたから、タイプに寄るとは思っていたけど……。想像以上に、アレだ。……可愛いよ」 




 耳まで真っ赤にしている事から、伶桜は嘘をついていないんだという事が分かる。……信じられない。


 これはコスプレとか女装とかってレベルじゃない。――進化だ。




 ゲームとかで、原型を残さず進化するような、別物の何かだ。




「そっかぁ~……。僕が可愛くって、伶桜が照れてるんだ? ふ~ん?」 




「やめ、止めろ! 下から俺の顔を覗き込むな!」 




「え? 仕方ないじゃん。僕の方が身長低いチビなんだし?」




 クールイケメンが仮面を脱ぎ捨てて慌てる姿を見るの、めっちゃ楽しい!




「今は蹲ってる俺の方が、目線は低いだろ!? ああ、もう! 終わりだ終わり! 早く薫が俺に着せたい服を持って来い!」  





「うん。――はい、これ。よろしく」




 僕はクローゼットに吊しておいて一式を手渡す。




「どれどれ……。黒いチェスターコートに白ニットシャツ。黒スキニーに黒革靴。グレーのネックウォーマー。……熱くて死ねるけど、高身長が似合うエレガントコーデだな。確かに、これは薫には無理だわ」 




「うん、だからお願いね? あ、エアコンは入れるから」




「そ、その顔でお願いとか言うな……。着替えるからさ……あっち向いてろよ」




 狼狽している伶桜って、面白いな。


 なんか、癖になりそう。




 僕はエアコンの冷房スイッチを入れて背を向け、メガネを外す。


 背を向けているだけでも見えないけど、念には念を入れて安心させてあげなきゃね。




「――よし。もうこっち向いて良いぞ?」

本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


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