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メイクアップ! 見知らぬ幼馴染との逆転関係  作者: 長久
1章 嫌いな自分たちに、好きな自分たち
11/64

11話

「なんで知らないんだよ。話題になってんだろうが」




「友達いないし、人と関わりないから」




「そ、そうか……悪かったな。野暮な事を聞いた」




 頬を掻きながら、ばつが悪そうな顔で苦笑を浮かべている。




 自慢じゃないけど、学校で僕が口を開く事なんて滅多に無い。


 クラスで山吹さんが話しかけてくれなければ、絡まれたり授業で名前を呼ばれない限りは一言も口にする事なく下校する事だってある。




 伶桜は知らないだろうけど、それが僕のスタンダードなんだよ。




「蛍高祭ではな、男性が女装して出場するミスコンテスト、女性が男装して出場するミスターコンテストがある」




「カオス過ぎない? 中途半端に女性や男性にランキング付けるのを反対する人へ配慮した感じなの?」




「さあな。別名は、コスプレパフォーマンスコンテストだ」




「うちの学校って進学校だったよね? 勉強できるアホが揃ってるのかな?」 




 イケメンの無駄遣いだけじゃなくて、学力の無駄遣いもする人が集まってるのかな?


 


「コンテストは単純にルックスの良さだけでなく、ファッションセンスや演出が加味されるそうだ。先輩が言うにはな……。去年のミスターコン優勝者は大人気漫画に出て来る、拳で闘う怪力高校生キャラのコスプレをして、瓦15枚を割った女子空手部元主将だったらしい」




「……まぁ、それなら分かる。やるのも見るのも、案外面白そうなコンテストだね」




「ミスコン優勝者は、女性アイドルアニメキャラのコスプレをして、キャラソンを歌いながら入場したそうだ」




「ごめん、やっぱり僕には理解が及ばないや。アホの権化じゃん」




 それ、どこのアニソンカフェ?


 高校の文化祭で、しかも女装しながらとか……。メンタル強すぎて引く。




「所作も声真似も、原作完全再現という愛のステージパフォーマンスをした細マッチョだったらしいぞ」




「リスペクトは感じるけど、人前でやる意味ある? 勉強し過ぎてアホしかいなくなったのかな」




「原作リスペクトの為に、体重を15キログラム落として来たとかって噂だ」




「そこまで突き詰めれば、尊敬できるアホだね。1周回って僕も格好良く感じて来た」




 そのメンタルは、引くを超越してきた。


 コスプレイヤーでも、そこまでしないんじゃないかな?




「因みに、ミスコンとミスターコン、どっちも動画がSNSでバズったらしい」




「僕には世間様が理解出来ないよ。……あれ、僕がズレてるのかな?」




 バズるってのは、凄く流行って話題になるという事だ。


 つまり、それだけ世間では評価されたって事なわけで……。


 いや、あるいは炎上という叩かれる方向なのかもしれない。頑張ったのにそれは可哀想か。




 多分、面白おかしく青春している姿が良かったのかな?


 それか、怖い物見たさか……。


 蛍高祭は秋口に行われるから、終わりゆく夏が恋しくてホラーを求めたのかもしれない。


 うん、きっとそうだ。




「だから真剣にやれば誰だってリスペクトされて優勝可能性がある、公平なコンテストだ。過去の実績が物語っているだろ?」




「それは分かったけどさ……。なんで僕にそんな情報を話したの?」




 思っていた以上に盛り上がる青春イベントなんだろうなとは思う。


 でも僕には、女装趣味やコスプレの趣味がない。……第一、見た目もパッとしない地味さだ。出場なんて意味がないし、する必要性も感じない。




 場が盛り上がるような芸も会話術も、愛して止まない趣味すら持たない僕にこんな話をしたのは、なんでなんだろう。


 山吹さんを観覧に誘えって事かな? 確かに、それだけインパクトがある人たちを見ていれば、会話なんか出来なくても間は持つだろうけど……。


 そもそも誘う勇気すらない。僕なんかって、自信が出ない……。




「優勝賞品がな、テーマパークのペアチケットなんだよ」




「……つまり、そのコンテスト――僕の場合だとミスコンに出て、優勝の実績とペアチケットを使って山吹さんを誘えって話?」




「そう言う事だ。客観的に評価されるコンテストで優勝した実績なら、自信を取り戻すには充分だろ? その実績を引っさげて、美園を誘え。そんで、気持ちをハッキリさせて来い」




 コスプレして優勝……。


 それでも、見た目が評価されたことになるのかもしれない。


 今の暗くて見えなくなりそうな自分よりは、マシになるかもしれないけど……。




「それは……」




「いい加減、覚悟を決めろよ。勇気も出せず、その感情がなんなのかモヤついたままで卒業したいのか?」




 伶桜が僕を煽る言葉は、胸にグサリと刺さった。




 僕は……変わりたい。


 今の自分が――勇気も出せず自信も無い。


 何も楽しくない、生きづらい、息苦しいと毎日嘆いているだけの自分が嫌いだ。




 大勢の前に立つ挑戦……。


 凄く勇気が要る事だけど……幼馴染みにここまで煽られて、ウジウジと引き下がりたくは無い。




 嫌いなままの自分を受け入れて――一生、幼馴染みから見下されるのは嫌だ。


 だったら――度胸を示すしかない、よね。




「……分かった。やってみる」 

本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ


この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!


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また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。


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