10話
「いつから好きなんだ?」
「……なんでそんな事を聞くのさ。興味なんて無いでしょ?」
「良いじゃないか。恋バナだよ」
「幼馴染みと恋バナとか、親に話すよりキツいんだけど。悍おぞましい」
双子同然の存在に、同級生が好きだって話をする?
しかも、完全に高嶺の花相手にとか、罰ゲームにしてもキツいよ。
「……薫、昔より突っ込みの毒が強くなってないか? 毒が塗られたナイフみたいにダメージが来るぞ」
「毒かぁ……。性根から腐ったんじゃない? 思春期で歪んだ自覚はあるから」
「……そうか。兎に角、俺だって暴露したんだ。次はそっちの番だろ? 話のネタ、提供しろよ」
本当は可愛くなりたかったって話かな?
勝手に話をしたんじゃん。
しかも全然楽しくないネタだったし。
僕からすると、だったら格好良さは僕に寄越せって憤りすら覚えたのに。……理不尽だなぁ。
「……入学式。1人ぼっちの僕に、嫌な顔もせず明るく話しかけてくれた時から」
「成る程な。浮いてて寂しかった所を、優しくされて好意を持った。つまりは、一目惚れって事か。……薫、中学から地味って言うか……。モッサリして気味が悪くなったからな。チョロく落とされやがって」
気にしてることを、そんなバッサリ……。
本当、容赦ないなぁ。
「そんな事、改めて言われなくても僕が1番分かってる。……格好良くなれない、地味でヒョロガリのメガネ。自分が魅力無い、パッとしないなんて……自分が1番良く分かってるよ」
「あ~……。悪かったよ。もう泣くな。……そんなに腐るほど、傷ついていたのか。知らなかった」
「……泣いてないよ。それに、好きかどうかだって分かんない。自分の気持ちハッキリしないまま半年経っちゃったから」
「だったら、気持ちをハッキリさせて来いよ」
サラッと言うなぁ。
その流し目、やめて。
無駄に格好いい色気が出てて、嫉妬する。
「簡単に言わないでよ。相手は学校のアイドルだよ?」
「そんな弱気だから、本郷たちに良いようにされんだぞ?」
「……僕はもう、自分に自信が無いから。別に大金って訳でも無いし、静かに卒業出来れば良いよ」
「へぇ。それで、いつ告白するんだ? 卒業式か?」
コイツ、自由過ぎない? 無敵かよ。
僕を励ます気なんて、絶対に無いでしょ。
本郷たちとの事も、そんな興味は無いんだろ。……切り替えの早いサバサバとしている伶桜の事だ。
この状態の僕に何を言っても仕方ないと、バッサリ切り捨てて話題を変えた可能性もあるけどさ。
「僕の話を聞いてた? 鼓膜あるの? 相手は学校のアイドルだよ、僕みたいのが相手される訳が無いって分かるよね?」
「キレんなよ。……別に揶揄ってねぇ。半年も指咥えて見てただけなんだろ? そんなもん、分の悪い賭けだと諦めて何も行動しない自分が益々嫌いになって行く一方だろ」
「……まぁ、ね。でも言う機会も勇気も無いし……。無謀に当たって砕けたら……。身の程知らずだって、イジメもエスカレートするよ」
「……つまりは、無謀では無い実績があれば良いんだろ? 魅力的な存在って証明が有れば、例え失敗してもイジメに発展するリスクは少ないって訳だ」
伶桜ぐらいにイケメンなら、周りも渋々納得するかもしれないけどさ。
イケメン女子と可愛い系美少女。良い組み合わせだねって。
でも僕みたいなのは……ダメでしょ。
「イジメなんて、理屈じゃないと思うよ。僕がイジメ易そうな限り、適当な理由をつけてイジメられるんじゃない?」
「このまま3年間、そうやって気持ちをハッキリさせられないで卒業するのか?」
「……それは嫌だ」
想像してたら、ドンドンとキツくなってきた。
さらに惨めになる姿が、簡単に想像できる。
「だったら、良い機会があるぞ」
「……良い機会?」
「今度の蛍高祭で、ファッションコンテストの皮を被ったミスコンとミスターコンがあるのは知ってるよな?」
蛍高祭……うちの文化祭の事か。
大学とかの文化祭でミスコンやミスターコンがあるのは知っていたけど、うちの高校にもあったんだ。
「初耳だけど?」
本作をお読みいただきありがとうございます┏○ペコッ
この物語に少しでもご興味を持って頂けたら……どうか!
広告の下にある☆☆☆☆☆でご評価や感想を頂けると、著者が元気になります。
また、ブックマークなどもしていただけますと読んで下さる方がいるんだと創作意欲にも繋がります。
どうか、応援とご協力お願いします┏○ペコッ