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27.セロテープの青い台座

 まさかと思った。とうとうとも思った。既婚が周知の事実になっているのか。もう私が手を出したら泥棒ネコ扱いされてしまう。黙ったままの私を見てコニーが気まずそうに笑った。


「ショック大きかった? 最近あまり薪チーフの話してなかったから、気持ち落ち着いてきてるのかと思ってたんだけど」


「コニーはどうしてわかったの? もうみんな知ってるの?」 


 握った棒金を、私の二番レジに崩し入れようとしてくれていたようだったけど、そのまま両手に握り、

「どれくらい広まってるかはわからないけど、知っている人も結構いるみたい。奥さんは三船さんらしいよ。まったく気付かなかったね。二人とも指輪してないんだからわかんないわ。小野やんだって結婚してるって知ってたら、のめり込むことなかったのにね」


 つかんでいた棒金を崩し、コニーが十円をじゃらっとレジに納めてくれたとき、洋楽ポップス棚から薪さんがやってくるのが見えた。まっすぐと私たちに向かって歩いてくる。レジに入りカウンターに置いてあるセロテープを何度もビーと引っ張って、指に一枚一枚くっつけ、セロテープでいっぱいになった左手から右手にもまたビーと引っ張ってくっつけていく。


「持って行きますか」


 セロテープの青い台座を指して言った。台座ごと持っていかれないほうが、またテープを取りに戻って来てくれるかもしれないから、本当は断って欲しい。現に他の人なら、ちょっと借りるよ、と持って行ってしまうところを、そうはせずに指に直接くっけている。


「いいよ。もう終わるから」


 薪さんはセロテープに向けていた焦点を私に移した。


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