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26.疲れた美人
それでもお人形さんのようにぱっちりとした目。すっと通った鼻筋に、尖った細い顎。一見地味だとしても、お顔をよく拝見すれば美人に変わりない。おそらくそこがミソだ。美人のくせに華やかでないところ。親近感を抱かせたり、同情を誘ったりする。
微笑むことがあまりなく、唇をいつも横にぎゅっと結んでいる姿も、楽に幸せをつかんでいるわけではなさそうに見え、私たちと決して別次元の人生を歩いているわけではなく、ある種の垣根が取り払われているようにも感じる。
男も歳を取り、疲れてくると、湧き出る泉のような滴った女じゃなく、渇いた喉で雨樋の水を一緒に啜ってくれる、三船さんのような疲れた美人を求めるんだろうか。
レジが空き始めたので、手提げビニール袋を新しく取り出し、カウンターの下に補充していると、一番レジにいたコニーが、十円の棒金を片手に近付いて来て、耳元でささやいた。
「薪チーフ、結婚してるんだって」




