23.三週間ぶりのメール
マンションの部屋に帰り、布団にうつぶせになって、鎌田洋の画集まで買っていた私は、眺めていたそれを枕の脇に押しやった。
どこをどうまちがった。何があって無視されているんだろう。放った画集を再度拾って、ページをめくる。言葉じゃない色とりどりの絶望が迫りくる。その「滅び」に、法則もなくぐしゃぐしゃに置かれた絵筆に、やさしく包まれるようだ。
枕元に置いていた携帯電話が鳴った。三週間ぶりに届いた薪さんからのメールだった。
――ずっと連絡しなくてごめん。これからもしばらくできそうにない。小野さんからも連絡しないでくれると有り難い――
これだけじゃ、いったい私たちのあいだにどんな問題が起こっているのかまったくわからない。奥さんの三船さんが絡んでいて、ごちゃごちゃになっているのかもわからない。それにしても三船さんは職場では至って今まで通りで、別段変わったところもない。
――理由は? 理由がないと、どう判断したらいいのかわからない――
たったそれだけを返信するのに、十二分かかった。
――大した理由はない。また話せるようになったときに説明する。ごめん――
それだけ返ってきても、どうすることもできない。
――今教えて――
そう訴えたが、それきり薪さんからの音信は途絶えた。どうしてこんなことになってしまった。私たちはうまくいってたんじゃないの? 薪さんは私のことが好きだったでしょう…? 予想外のことが起きてしまった。こんなに早く切り捨てられるとは思ってなかった。




